フリーランス薬剤師として開業し、マネーフォワードクラウド確定申告を導入したものの、
「結局、どこから手をつければいいの?」と迷っていませんか。
経理は毎日の業務に欠かせない作業ですが、初めて取り組むと仕訳や帳簿付けに戸惑うことも多いはずです。私自身も独立当初は同じように悩みましたが、実際の操作と流れを理解することで不安は大きく減りました。
この記事では、マネーフォワードクラウド確定申告を使った日々の帳簿付けの流れを、次のステップに沿って整理して解説します。
- 帳簿付けの全体像をつかむ
- 開業時に覚えておきたい処理(開業費・家事按分・事業主勘定)
- 銀行口座・カードのデータ連携
- 自動仕訳・手動仕訳・請求書連携
- 帳簿チェックのコツ
この記事を読むことで、記帳の流れをひと通り理解し、迷わず操作できるようになります。
特にフリーランス薬剤師として初めて確定申告に臨む方にとって、不安を解消する一歩になります。
この記事は、以下の「導入編」記事の続きにあたります。
まだサービスを導入していない方や、初期設定に不安がある方は、先に以下の記事をご覧ください。
👉 マネーフォワード確定申告ガイド|導入編:契約と初期設定の手順
まずは全体像をつかんで、帳簿付けの全体の流れをイメージしましょう。そこから具体的な処理や操作に入っていくと、理解が一気に深まります。
日々の帳簿付けをイメージしよう

フリーランスの経理は、難しく考える必要はありません。
やっていることを一言でいえば、「お金の出入りを記録して、あとから確認できるようにする」ことです。
最初は「経理って複雑そう…」と感じるかもしれませんが、日々の帳簿付けは次の3つの流れを押さえるだけで十分です。
- 取引を取り込む(銀行口座・カード明細・請求書など)
- 仕訳として登録する(収入・経費を科目に分ける)
- 帳簿をチェックする(残高や科目ごとの内訳を確認)
マネーフォワードクラウド確定申告を使えば、この流れを自動連携や仕訳提案で大幅に省力化できます。
次のセクションでは、この全体像の中で開業時に特に知っておきたい「代表的な処理」を見ていきましょう。
開業初年度に覚えておきたい3つの処理

開業初年度は、これまでとお金の流れが大きく変わります。
「これは経費になるの?」「どう仕訳すればいいの?」と迷いやすいのが、開業費・家事按分・事業主勘定(事業主貸・借) の3つです。
ここでは、実務でよく出てくるこれらの処理を具体例と仕訳例を交えて解説します。
開業費|開業前にかかった支出をまとめて処理
開業準備中に発生した支出は「開業費」として計上できます。
代表的なものは次の通りです。
- 開業セミナーや研修への参加費
- 調査や打ち合わせ等の交通費・旅費・ガソリン代
- 宣伝用チラシ・パンフレット・ホームページ作成費
- 名刺・印鑑・白衣などの購入費
- パソコン・プリンター・文房具などの備品購入費
- 会計ソフトやクラウドサービスの利用料
- 開業に向けた参考書の購入費
これらは「繰延資産(開業費)」として一時的に資産計上し、あとから一括または分割で経費にできます。
💡 一般的には年度内で一括償却するケースが多いです。
(仕訳例)開業前にノートPCを購入した場合
開業費 90,000/元入金 90,000
家事按分|仕事とプライベートを分ける
自宅やプライベートで使うものを事業に兼用する場合、事業利用分だけを経費にするのが「家事按分」です。
代表的な対象は次の通り:
- 家賃(自宅の一部を仕事用に使う場合)
- 光熱費(電気代など業務利用分のみ)
- 通信費(ネット回線やスマホ)
- 自動車関連費(ガソリン代、車検など)
比率は面積や時間など合理的な基準でOK。メモを残しておくと安心です。
(仕訳例)家賃100,000円の40%を事業用とした場合
地代家賃 40,000/事業主借 100,000
事業主貸 60,000
事業主勘定|事業とプライベートの橋渡し
事業とプライベートのお金を整理するために使うのが「事業主貸」「事業主借」です。
- 事業主貸 … 事業用口座から生活費を引き出したとき
- 事業主借 … プライベート資金で事業支出を立て替えたとき
💡 実務上は事業で「現金勘定」を用いず、事業主貸・借で処理するほうがシンプルです。
(仕訳例)プライベート口座で専門書を購入した場合
新聞図書費 3,000/事業主借 3,000
(仕訳例)生活費を事業用口座から引き出した場合
事業主貸 300,000/普通預金 300,000
📌 ポイントまとめ
- 開業費 … 開業準備にかかった支出をまとめて処理
- 家事按分 … 仕事用と生活用が混ざる支出を合理的に分ける
- 事業主勘定 … 事業とプライベートのお金の橋渡し
これらを理解しておくと、日常の記帳がスムーズに進みます。
ここまでで代表的な処理を押さえたら、次は 日々の取引を帳簿に取り込む流れ を見ていきましょう。
口座・カードを連携して明細を自動取り込み

口座やカードを連携しておけば、日々の取引明細を自動で取り込めます。
手入力の手間が減るだけでなく、記帳ミスの防止にもつながるため、フリーランスにとって心強い仕組みです。
初年度は経理に慣れていないことも多く、記帳が負担に感じられがちですが、自動連携を使えば確定申告直前に慌てるリスクを減らせます。
このセクションでは、銀行口座・カードの登録手順と、登録時によくあるミスや注意点を解説していきます。
銀行口座・クレジットカードとの連携手順
マネーフォワードクラウド確定申告では、銀行やカード会社と連携して取引明細を自動で取り込めます。
操作はとてもシンプルで、サービス内の「データ連携」から登録するだけです。
【連携の基本手順】
- 左メニューの「データ連携」から「新規登録」を選択
- 検索窓に銀行名やカード名を入力し、該当サービスを選択
- ログインIDやパスワードを入力して認証
- 完了すると明細の取り込みが始まる


銀行口座、クレジットカード、電子マネーなど幅広く対応しています。
まずは 事業用口座と事業用カード を優先して登録しておくと良いでしょう。
登録時の注意点(よくある3つのケース)
金融機関の登録は一見シンプルですが、設定を誤ると「明細が正しく取り込まれない」「プライベート取引が混ざる」といったトラブルが起こりがちです。
ここでは、筆者の実体験をもとに3つのケースを紹介します。
楽天銀行(個人ビジネス口座)は「法人用」を選ぶ
楽天銀行には【個人】と【法人】の2種類があります。
個人ビジネス口座を登録する際は、必ず 【法人】楽天銀行 を選択してください。

👉 個人事業だと【個人】を選びたくなりますが、【個人】楽天銀行はプライベート用の銀行口座のことです。
楽天カードは1枚ずつではなく「全体」で連携される
楽天カードを複数枚(プライベート用・事業用)持っていても、マネーフォワード上ではカード単位ではなく 「楽天カード全体」 として連携されます。


👉 事業用カードだけを取り込みたい場合は、「登録済一覧」画面で不要なカードを対象外に設定する必要があります。
MFビジネスカードは名称に注意して登録
「MFビジネスカード」は、次の2通りの方法で連携可能です。
- 「マネーフォワードクラウド確定申告」の「データ連携」から検索・登録
- 「マネーフォワード Pay for Business」にアクセスして登録
👉 本記事内の操作画面は「Pay for Business」に移動した後の設定手順を紹介しています。


👉 実際の画面では「マネーフォワードビジネスカード」ではなく、 「マネーフォワード Pay for Business」 という名称で表示されます。表記が異なりますが、問題なく連携できます。
💡 ここまでで口座やカードの連携における注意点を押さえました。
これで取引明細をスムーズに取り込む準備が整います。
次は、取り込んだ明細をどのように仕訳登録して帳簿に反映していくかを見ていきましょう。
仕訳の基本を押さえよう
帳簿付けで欠かせないのが仕訳登録です。
マネーフォワードにはいくつかの方法がありますが、実務で特によく使うのは次の3つです。
- 自動仕訳 … 銀行やカードの明細を取り込み、自動で勘定科目を提案
- 手動仕訳 … 開業費・家事按分・現金払いなど、自動で処理できない取引を登録
- 請求書連携 … クラウド請求書と連動し、売上や入金を自動で反映
ここでは、それぞれの特徴と操作の流れを解説します。
自動仕訳|明細から自動で科目を提案
銀行口座やカードを連携しておけば、明細が自動で取り込まれ、AIが勘定科目を提案してくれます。
必ず内容を確認し、間違っていれば修正しましょう。 一度修正すれば次回以降は学習されます。
操作の流れ(例):
- 左メニューの「自動で仕訳」→「連携サービスから入力」を選ぶ
- 取り込まれた明細が一覧表示される
- AIが内容に応じて勘定科目などを提案
- 内容を確認し、「登録」をクリック


💡 ホーム画面の「未仕訳の取引」からも登録画面に移動できます。
📌 よくある例(薬剤師の場合):
- 参考書のカード決済 → 新聞図書費
- ネットバンキングで薬剤師会費を支払 → 諸会費
手動仕訳|自動処理できない取引を登録
次のようなケースでは手動登録が必要です。
- 開業費や元入金など、初年度特有の処理
- 自宅の家賃や通信費など、家事按分が必要な支出
- 現金払い・ポイント利用など、自動で取り込まれない取引
よく使う取引は「仕訳辞書」に登録すると効率化できます。
操作の流れ(例):
- 左メニューの「手動で仕訳」→「振替伝票入力」を選ぶ
- 日付・勘定科目・金額・取引先などを入力
- 摘要欄に取引内容を具体的に記載
- 「登録」をクリック


📌 よくある例:
- 書店で参考書を立替購入 → 新聞図書費/事業主借
- 生活費を引き出し → 事業主貸/普通預金
請求書連携|売上・入金をスムーズに処理
マネーフォワード クラウド請求書と連携すれば、売上や入金の仕訳を効率化できます。
- 請求書を作成 → 「売掛金/売上」の仕訳が自動生成
- 入金時 → 金融機関の明細と照合し「普通預金/売掛金」として登録
⚠️ 注意:請求書側で「入金済み」に変更しても、自動で仕訳はされません。必ず確定申告側で登録操作を行いましょう。
操作の流れ(例):
- 請求書側で「会計連動」をONにする
- 請求書を登録すると「売掛金/売上」仕訳と「普通預金/売掛金」予定仕訳が自動作成される
- 売上仕訳を確認・登録
- 入金後、銀行の明細に対して「予定実現」にチェックを入れる
- 勘定科目で「売掛金の入金仕訳(普通預金/売掛金)」を選択し登録


入金後に銀行口座の仕訳登録画面を開く

💡 マッチング消し込みを忘れると二重計上になるため注意。
👉 このように「自動」「手動」「請求書」の3つを使い分ければ、日常の記帳はほぼカバーできます。
次のセクションでは、登録内容が正しく反映されているかを確認する「帳簿チェックのコツ」を紹介します。
帳簿チェックのコツ|定期的に確認したいポイント

帳簿はつけて終わりではなく、定期的に見直すことが大切です。
入力ミスや漏れを早めに発見できれば、確定申告前に慌てずに済みます。
このセクションでは、「どこを見ればいいか」「何をチェックすべきか」を実際の画面例とともに紹介します。
会計帳簿の見方と活用法
マネーフォワードクラウド確定申告では、左メニューの「会計帳簿」からいつでも確認できます。

主な帳簿と役割は以下の通りです。
帳簿名 | 内容 | 活用例 |
---|---|---|
仕訳帳 | 登録済み仕訳の一覧 | 入力ミスの確認 |
総勘定元帳 | 科目ごとの取引明細 | 科目別の内訳把握 |
残高試算表 | 科目ごとの合計 | 全体のバランス確認 |
推移表 | 月ごとの変化を一覧表示 | 経費の増減傾向チェック |
💡 月に1回程度、帳簿全体を見直す習慣をつけておくと安心です。
経費の異常や入力ミスに気づくには?
開業初年度は、経費の付け忘れや勘定科目の誤りが起きやすいものです。
次のポイントを意識して定期的にチェックしましょう。
- 前月・前年と比べて、支出に大きな変動がないか
- 現金払いや振込の記帳漏れがないか(通帳やレシートを確認)
- 未登録の自動連携データが残っていないか
- プライベート支出が帳簿に混ざっていないか
毎月の帳簿を締めるときに「変な数字がないか」をざっと見直すだけでも、ミスは大きく減らせます。
帳簿を定期的に見直しておけば、確定申告直前に慌てるリスクを大きく減らせます。
ここまで紹介した「データ連携」と「仕訳の登録」、「帳簿のチェック」を組み合わせれば、開業初年度の記帳作業はひととおり安心して進められるはずです。
最後に、今回の記事の内容を振り返りつつ、次のステップへのヒントをまとめます。
まとめ|仕訳と帳簿の基本を押さえて、確定申告をスムーズに

ここまで、マネーフォワードクラウド確定申告を使った日々の帳簿付けの流れと、開業初年度に覚えておきたい処理のポイントを解説してきました。
個人事業の経理は、一見むずかしそうに見えても、
「取引をこまめに記帳する」「月ごとに帳簿を見直す」
この2つを習慣にすれば、確定申告の直前に慌てることはありません。
特に初年度は「開業費」「家事按分」「事業主勘定」といった独特の処理を覚える必要がありますが、一度理解すれば応用がききます。
また、マネーフォワードの自動連携や仕訳提案を活用すれば、作業負担を大きく減らせます。
✅ 次に進めるアクションはこちら:
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筆者も実際に使っているツールです。使い勝手を試してみたい方は、以下のリンクからどうぞ。
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👉 はじめてでも安心のサポート体制 マネーフォワード クラウド確定申告
先に、会計ソフトの導入方法から確認したい方はこちらの記事を参考にして下さい。
👉 導入編:契約と初期設定の手順(当サイト記事|これから会計ソフトを始める方向け)
次は、記帳と帳簿チェックを終えたら、いよいよ確定申告フェーズへ。
e-Taxでの提出や控除入力、青色申告特別控除を活かすコツなど、具体的な作成手順はこちらの記事で解説します。
👉 [応用編(当サイト記事|確定申告書の作成と提出の流れ)](準備中)
また、確定申告以外にも、開業準備で押さえておきたいポイントがあります。事業用口座やカードの準備も含めて確認できます。
👉 事業用口座の始め方(当サイト記事|楽天銀行個人ビジネス口座の開設手順と注意点)
👉 事業用クレジットカードの始め方(当サイト記事|楽天カードとMFビジネスカードの活用例を紹介)
さらに、開業における全体像はこちらの記事でまとめています。