フリーランスとして独立したばかりのとき、最初に悩むのが「仕事用のメール環境をどう整えるか」です。
「独自ドメインの設定ってどうするの?」「どのプランを選べばいいの?」――こうした迷いを抱えるのは珍しいことではありません。
その解決策として多くの人が選んでいるのが、ビジネス向けのメール・カレンダー・ストレージを一括管理できる「Google Workspace」です。
実際、非常に便利なサービスである一方で、契約や初期設定の段階でつまずく人も少なくありません。
特にフリーランスは自分で仕事環境を整える必要があるため、最初の一歩で止まってしまうケースもよくあります。
私自身も、フリーランス薬剤師として仕事用のメール環境を整えるにあたり、ConoHaで取得した独自ドメインを利用して Google Workspace を導入しました。
その経験をもとに、本記事では 契約から初期設定までをわかりやすく整理して解説 します。
画面キャプチャを見ながら進められるよう構成 しているので、「何を準備すればよいか」「どんな流れで進むのか」を迷うことなく把握できます。
まずは全体像を押さえてしまえば、独自ドメインのメールやGoogleサービスをすぐに業務へ活用できるようになります。
それでは、Google Workspace 導入の流れを順番に確認していきましょう。
導入前に準備しておきたいもの

Google Workspaceを導入する前に、以下の準備を整えておくとスムーズです。
独自ドメイン
事業用メールアドレスを独自ドメインで使う場合は、あらかじめドメインの準備が必要です。
筆者は ブログ用のConoHaサーバーで取得済みのドメインを利用しました。
※まだドメインを持っていない方は、Google Workspace契約時に新規取得も可能です(別途費用あり)。
クレジットカード
Google Workspaceは月額制の有料サービスです。
公式からの直接契約では契約時にクレジットカード(またはデビットカード)の登録が必須となります。
利用する端末
PC・スマホ・タブレットなど、実際に利用する端末でGoogleアカウントにアクセスできる状態にしておきましょう。
基本は PCで契約や初期設定を進めつつ、スマホでログイン認証やメール確認を行うと効率的 です。
業務に必要なユーザー数の把握
ひとりで使うのか、外部スタッフやアシスタントと共有するのかをあらかじめ想定しておくと、プラン選択の判断がスムーズになります。
ここまでで、契約前に必要な準備が整いました。
次に確認しておきたいのが 「どの料金プランを選ぶか」です。
Google Workspace には複数のプランが用意されており、ストレージ容量や利用できる機能が異なります。
次に、料金プランについて見ていきましょう。
Google Workspace料金プラン|Starter/Standard/Plusの比較

Google Workspaceには複数の料金プランがありますが、フリーランス利用では Business Standard がもっともバランスの取れた選択肢です。
Starterはストレージがすぐ不足しがちで、Plus以上は管理機能の充実が中心となるため、個人利用にはオーバースペックになりやすいでしょう。
プランの概要を整理すると、次のようになります。
プラン | 月額料金(目安) | ストレージ | 主な特徴 | フリーランス向けの適性 |
---|---|---|---|---|
Business Starter | 約¥950/ユーザー | 30GB | 基本機能のみ | 容量不足になりやすい |
Business Standard | 約¥1,900/ユーザー | 2TB | 共同編集・会議録画なども可能 | ✅ バランスが良くおすすめ |
Business Plus | 約¥3,000/ユーザー | 5TB | 高度な管理機能・セキュリティ | 個人利用ではやや過剰 |
👉 契約後も管理コンソールからプラン変更可能です。
まずは Business Standard を基本に選んでおくと安心です。
※本記事ではフリーランス利用に関係のある Business Starter/Standard/Plus のみを紹介しています。
Enterprise(大規模法人向け)や Individual/Essentials Starter(独自ドメイン非対応)は対象外です。
プランの違いを把握し、自分に合ったものを選べたら、いよいよ契約手続きに移りましょう。
Google Workspaceの契約手順(独自ドメイン利用例)

ここでは、筆者が ConoHaサーバーで取得した独自ドメインを使って Google Workspace を契約した手順 を例に解説します。
もともとはブログ用に契約したドメインですが、無料で利用できることと名称が気に入ったことから、フリーランス薬剤師としての仕事用メールアドレスにも活用することにしました。
なお、Google Workspaceの契約時に 新しくドメインを取得することも可能 です。
ただしこの場合は、Google Workspaceの利用料とは別にドメイン費用が掛かります。
契約の流れ(概要)
Google Workspace を独自ドメインで利用する際の流れは、次のとおりです。
- 公式サイトからの申し込み
- 従業員数と連絡先の入力
- ドメイン利用の選択(既存ドメイン or 新規取得)
- Google Workspaceアカウントの作成(ログイン用メールとパスワード)
- プランの選択(後から変更可能)
- 支払い設定(クレジットカード登録)
- ドメイン所有権の確認(ConoHa側で TXT レコードと CNAME レコードを追加)
- 独自ドメインのメール設定(MX レコード変更で Gmail 送受信を有効化)
ここまでで全体像を押さえました。
次は実際の画面操作を見ながら、順番に手順を確認していきましょう。
契約手順をスクリーンショットで解説
ここからは、実際の画面操作を追いながら契約を進めていきます。
例として、筆者が ConoHa で取得した独自ドメインを利用して設定した手順を紹介します。
1. 公式サイトから登録開始

👉 Google Workspace公式サイトにアクセスし、「無料試用を開始」 をクリックします。

👉 会社名は空欄や仮の名称で進めても問題ありません(筆者は空欄で進めました)。従業員数は「自分だけ」、地域は「日本」を選択してください。
2. 管理者情報と連絡先の入力

👉 管理者名は本名で入力します。連絡用メールには既存の個人メールアドレスを利用してください(ここでは、作成予定の独自ドメインアドレスではなく、既存の個人メールアドレスを入力してください)。
3. 独自ドメインの選択

👉 「使用できるドメインがある」を選んで下さい。新規取得する場合は「ドメインを購入」を選択します。

👉 取得済みの独自ドメインを入力して下さい(筆者はConoHaで取得したドメインを使用しました)。

👉 入力したドメイン名を確認し、[次へ]をクリックしてください。
4. Google Workspaceアカウント作成

👉 ログイン用のユーザー名とパスワードを設定してください。ユーザー名はメールアドレスの@前部分となり、後から変更できないため注意が必要です。
5. プラン選択

👉 筆者のケースでは Business Plus が初期表示されましたが、後で Business Standard に変更しました。プランは契約後に管理コンソールから変更可能です。
6. 支払い設定


👉 住所と支払い方法を入力してください。支払いにはクレジットカード(またはデビットカード)が必要です。
7. ドメイン所有権の確認

👉 この画面では設定作業は不要です。内容を確認して次へ進んでください。

👉 ドメイン管理サービスを選択します。候補に ConoHa がない場合は WordPress を選択しても問題ありません。

👉 表示された TXT レコードと CNAME レコードを ConoHa 管理画面の DNS に追加します。この画面は開いたままにしてください。

👉 ConoHa 管理画面での操作手順:
- 管理画面にログイン後、左メニューから「DNS」をクリック。
- 対象ドメインを選択。
- 編集ボタンから TXT/CNAME レコードを追加(Google Workspace に表示されたコードをコピー&ペーストしてください)。
👉 既存の A レコードや MX レコードは変更しないでください。

👉 ConoHa で TXT/CNAME レコードを追加したら、この画面に戻ります。左下にチェックを入れ、「確認」をクリックしてください。
👉 反映には時間がかかる場合があります。エラーが出た場合は数分〜数十分待ってから再試行してください。

👉 この画面が表示されれば独自ドメインの所有権確認は完了です。「Gmail を有効にする」をクリックしてください。
8. Gmailの有効化(MXレコード設定)

👉 「続行」をクリックして Gmail の有効化設定を開始してください。

👉 フリーランスで一人利用の場合はユーザー追加は不要です。そのまま「有効化を進める」をクリックしてください。

👉 表示された MX レコードを ConoHa 管理画面の DNS に追加して、既存の MX レコードは削除します。この画面は開いたままにしてください。

👉 ConoHa 管理画面での操作手順:
- 左メニューから「DNS」をクリック。
- 対象ドメインを選択。
- 編集ボタンから既存の MX レコードを削除し、新しい MX レコードを追加(Google Workspace に表示されたコードをコピー&ペーストしてください)。

👉 ConoHaでMXレコードを追加したら、この画面に戻ってチェックを入れ、「確認」をクリックして下さい。
👉 既存の MX レコードを残したままにするとエラーになります。必ず削除してください。
👉 反映に待ち時間がある点は所有権確認と同様です。
9. 完了

👉 この画面が表示されれば、独自ドメインを使った Gmail の設定は完了です。
以降はチュートリアルやカスタマイズ画面が表示されます。利用者ごとに異なるため画面の指示に従って設定を行って下さい。
次のセクションで説明する初期設定も一部含まれます。
以降のセキュリティ強化などの細かい初期設定は、次のセクション「導入後に確認しておきたい初期設定」で解説します。
導入後に確認しておきたい初期設定

Google Workspaceの契約が完了したら、次は初期設定です。
一人で利用する場合、管理者=利用者となるため、契約時に作成したアカウントを使って「管理コンソール」と「自分のGoogleアカウント設定」の両方を行います。
同じアカウントでも、管理コンソールではサービス全体の方針やセキュリティの基本設定などを行い、Googleアカウント側ではパスワードや2段階認証、プロフィール情報など“自分専用”の項目を設定します。
ここでは、フリーランスとして一人で使う場合に押さえておきたい初期設定のポイントを整理しておきましょう。
管理コンソールで行う基本設定(全体管理)
管理コンソールは、Google Workspace全体の方針やルールを決める場所です。
一人利用の場合でも、次のような最低限の設定は確認しておくと安心です。
- アカウント情報の確認・編集:組織名や管理者情報を正しく登録しておく
- ディレクトリ設定:Googleアカウント側のプロフィール情報で編集できる項目を許可します
- セキュリティ設定:2段階認証プロセスが有効になっていることを確認
- サービスの有効化:Gmail、カレンダー、ドライブなど必要なサービスが有効になっているかチェック
- ロゴ設定:管理コンソールから事業用ロゴを登録しておくと、メール送信時や共有画面で統一感が出る
👉 一人利用ではユーザー追加やグループ管理などは不要です。まずは「自分が安全・快適に使える環境」を整える意識で十分です。
Googleアカウント側で行う個人設定(自分専用)
同じアカウントでも、「Googleアカウント設定」の画面では、自分自身の操作が必要な項目があります。
- プロフィール情報の登録:プロフィール画像や氏名・生年月日等の基本情報、連絡先情報を設定
- セキュリティの設定:Google にログインする方法を設定・変更
- 2段階認証プロセス:スマートフォンや認証アプリと連携してログインを強化
- パスワードの変更:初期設定時のパスワードは、任意のタイミングで変更可能
- 再設定用の連絡先:万一のログイントラブルに備えて、再設定用メール・電話番号を追加
👉 パスワードの変更は管理コンソールからも変更可能ですが、日常的な運用では Googleアカウント設定画面から直接変更するのが簡単です。
一人利用では、組織的な管理機能の多くは使わなくても問題ありません。
大切なのは「管理コンソールで全体の土台を整えたうえで、自分のアカウント設定で使いやすさと安全性を高める」ことです。
ここまでで、Google Workspaceの契約から初期設定までの基本的な流れは一通り完了です。
あとは実際の業務の中で使いながら、自分の使いやすい形に少しずつ調整していきましょう。
まとめ|導入から初期設定までの流れをおさらい

ここまで、Google Workspaceの契約から初期設定までの基本的な流れを一通り解説してきました。
独自ドメインの準備やプラン選びに始まり、契約手続き、DNSレコードの設定、そして管理コンソール・Googleアカウントそれぞれの初期設定までを押さえれば、業務で使える環境は整います。
一人で使う場合は、複雑な組織管理や細かな権限設定までは不要です。
まずは「安全で快適に使える環境を整えること」を意識し、日々の業務の中で少しずつ設定を見直していくのが現実的です。
Google Workspaceを導入すると、メール・予定・ファイル・メモといった仕事の中心がひとつの環境に統合され、情報の分散や管理の手間が大幅に減ります。
ここからは、各サービスを使いこなして日々の業務効率を高めていきましょう。
✅ 次に進めるアクションはこちら:
Google Workspace導入後の活用法を知りたい方はこちら
👉 Google Workspace活用術まとめ(当サイト記事|フリーランスの仕事環境を統一する最適解)
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