「退職後の確定申告、何から手をつければいいのか不安…」そんな悩みを抱える薬剤師の方も多いのではないでしょうか。
退職してフリーランスとして独立した初年度は、退職金、失業給付、アルバイト収入、開業後の事業所得など、複数の収入形態が絡むことで、確定申告が複雑になりがちです。
この記事では、退職から開業初年度に必要な確定申告の基礎知識と手続きの流れを、薬剤師向けにわかりやすく解説します。次のような疑問がある方におすすめです:
- 自分は確定申告が必要なのか?
- 退職金やアルバイト収入の扱いは?
- 青色申告をすると何が有利なのか?
知らずに損をしないためにも、最後までぜひご覧ください。
退職後の確定申告が必要になるケースと理由
年末調整がされていない場合
会社員は通常、年末調整で所得税が精算されますが、年の途中で退職している場合は、年末調整が行われていない可能性があります。その際は、自身で確定申告が必要です。
所得税を多く払いすぎているケースもあり、申告によって税金の還付が受けられることも。退職時に受け取る「源泉徴収票」は申告に必要なので、紛失している場合は会社に再発行を依頼しましょう。
退職金・失業給付の扱い

- 退職金:通常、「退職所得控除」が適用されるため、税負担が軽減されます。退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、確定申告は不要です。提出していない場合は、税金が多く引かれている可能性があるため、申告によって還付されることがあります。
👉 詳細はこちら:国税庁|退職所得に関する説明ページ
※退職所得控除の計算方法や、申告書の有無による違いについて詳しく解説されています。
- 失業給付:非課税のため、原則として確定申告は不要です。ただし、開業までの間にアルバイト収入があり、開業後の事業所得と合わせて一定額を超える場合は、合算して確定申告が必要です。
👉 詳細はこちら:ハローワーク|基本手当について
※受給資格や給付日数、アルバイトとの関係など、基本的な失業保険の仕組みが確認できます。
フリーランス初年度の確定申告の基本
事業所得と雑所得の違い
- 事業所得:反復・継続して収入を得ている場合に該当
- 雑所得:一時的な副業収入など
税務上の扱いや、青色申告の適用、経費計上の範囲が異なるため、分類に注意が必要です。
経費にできる代表的な支出(薬剤師業の場合)

フリーランス薬剤師としての業務に必要な支出は、事業経費として計上できる可能性があります。以下はよくある経費の例です。
- 名刺・営業用チラシの作成費
- Webサイト制作費・ドメイン取得費
- 薬剤師会費(各薬剤師会)
- 薬剤師賠償責任保険料
- パソコン・業務用スマホなどの通信機器費
- 会計ソフトや契約書作成サービスの利用料
- 白衣や業務靴、筆記具などの消耗品
- セミナー参加費や専門書籍代
✅ 注意:プライベートと共用している支出(スマホ代など)は、業務に使用した割合のみを按分して経費計上しましょう。
開業後の申告で押さえるべきポイント
- 退職金 → 「退職所得の受給に関する申告書」を提出済みなら申告不要。未提出なら還付申告を検討
- 失業給付 → 非課税。申告不要。ただし、開業までの間に収入がある場合は合算して申告が必要なことも
- アルバイト収入 → 給与所得として扱い、事業所得と合算して20万円を超える場合は申告が必要
- 開業後の事業所得 → 給与所得と合算して申告。青色申告を希望する場合は、事前の「青色申告承認申請書」の提出が必要。開業費の計上や家事按分も可能です。
提出までの流れと必要書類

準備する書類
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票(※確定申告が必要な場合)
- 青色申告決算書または収支内訳書
- 控除証明書(生命保険料など)
- マイナンバーカード等の本人確認書類
提出方法と期限
- 提出期間:通常は2月16日〜3月15日
- 提出方法:e-Tax(おすすめ)または税務署窓口
✅ e-Taxを活用すれば、自宅から簡単に提出可能。青色申告の控除も最大限活用できます。
👉 詳細はこちら:e-Taxポータルサイト
※電子申告の手順、利用環境、FAQ、マイナンバーカード利用方法などが網羅されています。
👉 確定申告書の作成はこちら:国税庁 確定申告書等作成コーナー
添付書類と保存の注意点
- 青色申告特別控除(最大65万円)を受けるには、帳簿・領収書などの適切な保存が必要
- 紙で受け取った領収書は紙で保存、電子データで受け取った領収書は電子保存が原則
- 紙の領収書をスキャンして保存するには、電子帳簿保存法の要件を満たす必要あり
- 保存期間は原則7年間(白色申告は5年)
👉 詳細はこちら:国税庁|電子帳簿保存法の概要
※スキャナ保存や電子データ保存に関する最新の保存要件・制度概要が掲載されています。
Q&A
Q1. 開業届を出していなくても、事業所得で申告できますか?
→ 申告は可能です。 実態として独立して事業を行っていれば、開業届がなくても「事業所得」として申告できるケースが一般的です。ただし、青色申告を希望する場合は開業届と青色申告承認申請書の提出が必要になります。
Q2. 青色申告と白色申告、どちらが有利?
→ 節税面で有利なのは青色申告です。 最大65万円の控除や赤字繰越などのメリットがあります。ただし、複式簿記と事前申請が必要です。
Q3. 退職金や失業給付は課税対象?
→ 退職金は課税対象ですが、「退職所得控除」が適用され、通常は源泉徴収で完結します。申告が必要な場合もあるので源泉徴収票を確認しましょう。
→ 失業給付は非課税です。開業までの間に収入があった場合は、他の所得と合算して申告が必要になるケースもあります。
まとめ|退職・開業後の薬剤師は早めの準備を

退職後にフリーランスとして独立した薬剤師は、給与所得と事業所得を合算して確定申告する必要があります。
退職金・失業給付の扱い、開業後の青色申告など、初年度は特に手続きが複雑になりがちです。必要な書類や申告スケジュールを早めに把握し、スムーズに対応できるよう備えておきましょう。
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👉 退職後の制度や手続きについて詳しく知りたい方は、フリーランス薬剤師の退職後制度まとめ をご覧ください。