雇用から業務委託に切り替わるとき、契約書の準備に戸惑うフリーランスは少なくありません。
そもそも「契約書は委託側が用意するものでは?」と感じている方も多いかもしれません。
ただ実際には、業務委託の前例が乏しい業界もあります。
たとえば調剤薬局では、契約書のノウハウが整っていない委託先も珍しくありません。
業務委託自体がこちらからの提案だった場合、「契約書を用意してください」と言い出しづらいケースもあります。
私自身も、調剤薬局での雇用から業務委託へ切り替える際、こちらから叩き台を用意し、内容をすり合わせていく形を取りました。
この記事では、そうした実体験をもとに、
- 業務委託契約書がなぜ必要なのか
- 最低限おさえておきたい内容
- 最初の一通をどう用意するか
を整理します。
契約書は最初から完璧である必要はありません。
まずは叩き台を用意するだけでも、契約の話は前へ進みます。
「契約書が不安で次の一歩が踏み出せない」という方が、肩の力を抜いて準備を進められるよう、この記事がひとつの指針になれば幸いです。
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業務委託契約書は、なぜ必要になるのか?

業務委託で働く場合、雇用とは前提が大きく変わります。
雇用されていたときは契約内容を細かく意識しなくても働けましたが、業務委託では自分で条件を把握しておく必要があります。
どんな業務を、どの範囲まで行うのか。
報酬はどのように計算され、いつ支払われるのか。
こうした点をあいまいにしたままだと、
「報酬が思っていたより低い」
「こんな条件だとは聞いていなかった」
と感じる場面が出てくるため、条件を自分で確認していく姿勢が欠かせません。
業務委託契約書というと、トラブルを想定した堅い書類を思い浮かべるかもしれません。
ですがその役割はそれだけではなく、業務の条件や前提を整理して余計な不安を減らす、いわば“安心のルールブック”のようなものです。
業務委託契約書とは何か|まずおさえておきたい基本項目

契約書というと、条文や専門用語が並ぶ難しい書類を想像するかもしれません。
法律的な正確さももちろん大切ですが、まずはどんな内容が並んでいるかという全体像をつかむことが先決です。
雇用契約との違いと、業務委託の基本的な考え方
雇用契約では、業務の進め方について会社側の指示や管理のもとで働くのが前提です。
業務委託では、受託側が独立した立場で業務を行うことが前提になります。
業務委託の中でも、何らかの成果物を納品するのではなく、一定の業務を継続して遂行することが求められる仕事は「準委任契約」として整理されます。
筆者のように、フリーランス薬剤師として行う調剤・服薬指導業務もこれにあたります。
ここで大切なのは契約類型を細かく理解することではなく、「何をどこまで行うのか」「どんな条件で業務を遂行するのか」をあらかじめ言葉にしておく契約だという点です。
業務委託契約書に書かれる主な項目(全体像)
業務委託契約書は、業務の条件を整理する項目が順番に並んだ構成になっています。
一般的には、次のような項目が並びます。
| 項目 | 内容の概要 |
| 表題(契約書の名称) | 「業務委託契約書」「準委任契約書」などの契約名 |
| 前文(契約当事者) | 委託者・受託者それぞれの氏名や住所 |
| 業務内容 | 行う業務の内容や範囲 |
| 報酬金額と支払条件 | 報酬額、計算方法、支払日など |
| 契約期間・納期 | 契約の開始日・終了日、更新の有無 |
| 秘密保持 | 業務上知り得た情報の取り扱い |
| 再委託の可否 | 業務を第三者に任せてよいかどうか |
| 報告義務 | 業務の進捗や結果の報告方法 |
| 契約解除 | 契約を終了できる条件や手続き |
| 損害賠償 | トラブル時の責任の範囲 |
| 合意管轄 | 紛争時に利用する裁判所 |
| その他 | 反社会的勢力の排除などの定型条項 |
まずは、この全体像を把握しておくだけで十分です。
業務委託契約書は、まずは叩き台から始めよう

ここからは、雇用から業務委託へ切り替えた際に、筆者が契約書をどのように考え、準備したのかをお伝えします。
叩き台を用意して話し合いを進める
業務委託の前例が乏しい委託先では、契約書のひな型がそろっていないこともあります。
受託側から「契約書を用意してください」と切り出しづらい場面もあります。
そうした状況では、受託側が叩き台を用意してしまう方が、話がスムーズに進むことがあります。
ゼロから考えるよりも、「まずはこの形でどうでしょうか」と具体案を出した方が、条件の確認や調整がしやすくなるためです。
筆者自身も、委託元の調剤薬局にひな型がなかったため、こちらで叩き台を用意し、内容を一緒に確認しながらすり合わせていく形を取りました。
このとき意識したのは、契約書を「完成させて提出するもの」ではなく、「話し合いのスタート地点となる材料」として捉えることです。
最初から完璧に仕上げる必要はなく、叩き台を用意するだけでも、契約の話は十分に前へ進みます。
テンプレートを活用するという選択肢
最初の一通として取り入れやすいのが、既存のテンプレートを活用する方法です。
業務委託契約書は、ゼロから条文を考えなくても、あらかじめ一般的な構成が整ったひな型をもとに、必要な部分だけを書き換えていく形で十分に対応できます。
その選択肢のひとつとして、マネーフォワード クラウドが無料で提供している業務委託契約書のテンプレートがあります。
Word形式でダウンロードできるため、業務内容や報酬条件などを自分の状況に合わせて書き換えやすく、叩き台として使うにはちょうどよい形式です。
具体的な入手方法や、ダウンロード後に確認しておきたいポイントについては、次のセクションで整理します。
マネーフォワード クラウドを使って契約書を用意する方法

マネーフォワード クラウドが無料で提供している業務委託契約書のテンプレートを使って、最初の一通を用意する手順を紹介します。
Word形式のファイルをダウンロードし、必要な部分を書き換えていくだけで進められます。
マネーフォワード クラウドのテンプレート集には、汎用的な業務委託契約書のほか、職種別のテンプレートもいくつか用意されています。
以降は筆者が利用した「薬剤師 業務委託契約書」での検索を例に手順を示します。
テンプレートのダウンロード手順
操作の流れ
- マネーフォワード クラウド公式サイトを開き、ログインせずに下へスクロール
- 「法務関連テンプレート集」をクリック
- 検索窓に職種名と「業務委託契約書」を入力(例:「薬剤師 業務委託契約書」)
- 該当テンプレートを選び、ダウンロードページへ進む
- メールアドレスを入力し、チェックを入れて送信
- メールで届いたリンクから Word形式のファイルを入手

公式サイトトップページ。
ログイン不要で下へスクロールすると、テンプレート集にアクセスできます。

公式サイト下部のメニューから 法務関連テンプレート集をクリックします。

ページを開いたら、下へスクロールして検索窓を表示させます。

検索窓を表示させたら、自分の職種に合わせたキーワードを入力します
(ここでは「薬剤師 業務委託契約書」)。

入力後、検索ボタンをクリックして該当テンプレートを表示させます。

検索結果から契約書名を確認し、ダウンロードボタンをクリックします。

メールアドレスと事業者区分を入力し、同意チェックを入れてからダウンロードボタンをクリックします。
登録したメールアドレス宛にダウンロードリンクが届きます。
ダウンロード後に確認しておきたいポイント
ダウンロードしたら、まずは内容をざっと確認してみましょう。
すべての条文を細かく理解する必要はありません。
確認したいのは、どんな項目が並んでいるか、自分の業務に合わせて書き換えが必要な部分はどこか、という全体感をつかむことです。
特に業務内容・契約期間・報酬と支払い条件は、働き方に直結するためしっかり考えておきたい部分です。
それ以外の条文はテンプレートをベースにしながら、必要に応じて調整していく進め方で問題ありません。
まとめ|契約書は「安心して働くための準備」

業務委託契約書は、トラブルに備えるためだけの堅い書類ではありません。
どんな業務をどこまで行うのか、どんな条件で報酬が支払われるのか。
そうした前提をあらかじめ言葉にして整理しておくためのものです。
契約書は最初から完璧に仕上げる必要はありません。
叩き台を用意し、条件を確認しながらすり合わせていく。
それだけでも、話は十分に前へ進みます。
自分の働き方に直結する部分にはしっかり向き合い、それ以外はテンプレートを活用する。
そうした進め方で、最初の一通は十分に形になります。
契約書は安心して働くための準備のひとつです。
肩の力を抜きながら、まずは形にしてみてください。
マネーフォワード クラウドのテンプレートを入手して、叩き台づくりから始めてみましょう。
✅ 次に進めるアクションはこちら:
👉マネーフォワード クラウド公式サイト(外部リンク|無料テンプレート集)
ページ下部のテンプレート集から、業務委託契約書のテンプレートを無料でダウンロードできます。
👉マネーフォワードでできる請求書のつくり方|請求実務を迷わず進める
契約書で条件を整理したら、次に必要になるのが「請求」です。
請求書に何を書けばよいのか、業務委託ならではの注意点や実務の流れを整理しています。
