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退職+フリーランス初年度の失業手当ガイド|受給条件・伝え方・注意点をわかりやすく解説

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Nao@フリーランス薬剤師

Nao@フリーランス薬剤師|調剤薬局と業務委託契約中
病院・薬局での経験を活かし、自由な働き方やお金の知識をブログで発信しています。
薬剤師免許・認定薬剤師・簿記3級・FP3級保有

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退職後にフリーランス薬剤師として独立を目指す方にとって、「失業手当は受け取れるのか」「どこまで準備していいのか」といった疑問はつきものです。

実は、一定の条件を満たせば、開業準備中でも失業手当を受け取ることが可能です。ただし、ハローワークでの伝え方や手続きの進め方によって、受給の可否やタイミングに大きな差が生じる場合があります。

この記事では、制度の基本から伝え方の工夫、開業時の注意点までを、フリーランス薬剤師を目指す人向けにわかりやすく整理しました。

  • ✅ フリーランス準備中でも受給できる?
  • ✅ どこまで準備していいのか不安
  • ✅ 開業届はいつ出すべき?

こんな悩みを持つ方に向けて、制度を活用しながらスムーズに独立するためのポイントをお届けします。

制度の基本|フリーランスでも失業手当は受け取れる?

退職後の失業給付①

この記事で扱う「失業手当」は、正式には雇用保険制度における「基本手当(求職者給付の一部)」を指します。

一般的には「失業手当」という呼び方がよく使われており、この記事でもわかりやすさを優先してその表現を用いています。

失業手当は、再就職の意思と能力があるにもかかわらず職に就けない人に対して、ハローワークを通じて支給される制度です。

退職=自動的に給付されるわけではなく、「働く意思があり、求職活動を行っていること」が前提となります。

フリーランス薬剤師として独立を考えている場合でも、すぐに開業して業務を始めるのでなければ、「開業準備中であり、就職も視野に入れている」といった状態で受給が認められることがあります。

また、2025年4月の法改正により、自己都合退職の場合の給付制限が以下のように見直されました:

  • 従来: 7日間の待機期間+2か月の給付制限
  • 改正後: 7日間の待機期間+1か月の給付制限

さらに、条件を満たせば給付制限が免除され、待機期間終了後すぐに失業手当の受給を開始できる場合もあります。

給付制限が免除される例:

  • 離職前または離職後に、厚生労働省指定の教育訓練を受講している
  • 職業訓練校、求職者支援制度の講座、就職支援のオンライン講座などに参加している

💡 フリーランスとして独立を目指す方でも、IT・会計・営業スキルの向上を目的とした講座などが対象になることがあります。

このように、制度の仕組みと給付までの流れを理解し、適切な準備と伝え方を行えば、独立前でも失業手当を活用することが可能です。

受給できるかどうかの判断ポイント

退職後の失業給付③

失業手当を受け取れるかどうかは、次の3つのポイントで判断されます。

雇用保険の加入期間

退職前に雇用保険に一定期間加入していたことが必要です。

  • 自己都合退職の場合:離職日前の2年間に通算12か月以上の加入
  • 会社都合退職や特定理由離職の場合:離職日前の1年間に通算6か月以上の加入

勤務先から交付される「雇用保険被保険者離職票」の内容が大切なので、記載ミスがないか確認しましょう。

就職の意思と求職活動

「就職する意思があること」「実際に求職活動をしていること」が受給の前提です。

フリーランス開業を視野に入れていても、「条件に合う求人があれば就職も検討している」というスタンスであれば、受給対象と判断される可能性があります。

実際の働き方(業務の有無)

退職後にすぐフリーランスとして働き始めると、「就職した」とみなされて受給できません。

名刺作成や準備中の情報収集など、収益の発生しない範囲にとどまっていれば、受給資格が維持される可能性があります。

受給までの流れと必要な手続き

退職後の失業給付④

退職後に失業手当を受け取るには、ハローワークでの申請と認定を段階的に進めていく必要があります。以下の流れを押さえて、スムーズに準備を進めましょう。

離職票の受け取りと確認

まずは、勤務先から届く「雇用保険被保険者離職票(1・2)」の内容を確認します。特に「離職理由」や「賃金支払状況」の記載ミスがあると、受給額や開始時期に影響するため要注意です。

ハローワークでの求職申込み

住民票のある地域を管轄するハローワークで「求職申込み」を行い、離職票を提出します。

なお、求職申込みは事前に ハローワークインターネットサービス からオンラインで行うことも可能です。

雇用保険説明会への参加

申込みの1〜2週間後に「雇用保険説明会」が実施されます。制度の概要や受給手続きの説明を受け、以下の書類が交付されます。

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業認定申告書
  • 初回認定日の案内

※この説明会への参加だけで、1回分の「求職活動実績」としてカウントされます。

失業認定と求職活動の継続

以降は4週間ごとに「失業認定日」が設けられ、求職活動の実績を報告します。原則として、認定期間内に2回以上の活動が必要です。

例:

  • 転職サイトの利用など
  • 求人への応募(書類提出や面接)
  • ハローワークでの職業相談
  • セミナーや職業説明会への参加

受給中の注意点と制限事項

退職後の失業給付⑤

失業手当を受けながら開業準備を進める場合、気をつけたいのが「就職した」とみなされないことです。収入の有無だけでなく、行動内容によっても判断されるため、制度上の制限を理解したうえで行動することが大切です。

収益が発生しない準備はOK

以下のような活動は、原則として失業状態とみなされず、受給を継続できます。

  • 名刺や業務用メールアドレスの作成
  • 自己紹介用プロフィール資料の整備
  • 契約書のひな型作成や条件整理
  • 業務に関係する情報収集(薬局の比較など)
  • 保険やサービスの検討

🔸 ポイントは、「収益が発生しない範囲」「営業活動ではないこと」です。

開業届の提出は「就職」と判断される

税務署に「開業届」を提出した時点で、原則として失業状態ではなくなり、失業手当の支給は終了します。

ただし、所定の条件を満たせば、開業も「再就職」とみなされ「再就職手当」を受け取れる場合があります(詳しくは次のセクションで解説します)。

短時間の作業でも申告が必要

副業やアルバイト、業務委託などの作業を行った場合、たとえ数時間でも申告が必要です。

  • 1日4時間以上:その日の給付は不支給
  • 4時間未満:収入に応じて減額されることも
  • 無報酬の作業でも「就労」とみなされる可能性あり

申告漏れがあると「不正受給」とされ、給付の取り消しや返還、追徴金の対象になるため注意しましょう。

受給と開業を両立させるための選択肢

退職後の失業給付⑥

将来的にフリーランス薬剤師として働く予定でも、失業手当の制度を上手に活用すれば、開業前後のリスクを抑えることができます。ここでは、受給と開業を両立させるための主な選択肢を紹介します。

再就職手当を活用する

失業手当の受給資格がある状態で、フリーランスとして本格的に業務を始める場合、「再就職手当」が支給される可能性があります。
この制度は、所定の条件を満たしたうえで早期に就職・開業した人に対して、残りの給付日数に応じた一時金が支給されるものです。

主な支給条件:

  • 7日間の待機期間が終了している
  • 所定給付日数の3分の1以上が残っている
  • ハローワークに事前に申告している
  • 原則として、1年以上継続する見込みのある業務である

💡 早めにフリーランスとして開業する場合は、この手当を受け取ることで資金面の不安を軽減できます。

👉 詳しくはこちら:就職促進給付について(厚生労働省)

受給期間延長の特例を利用する

退職後すぐに開業し、後に廃業して再び就職活動を行う場合には、受給期間の特例制度を利用できることがあります。

この制度では、事業に専念している期間(最大3年)を「雇用保険の受給期間に含めない」という扱いがされ、受給の権利を将来に繰り延べることが可能です。

主な要件:

  • 離職後に開始した事業であること
  • 事業が30日以上継続していること
  • 就業手当・再就職手当を受けていないこと
  • 開業日から2か月以内に申請すること

この特例を利用すれば、「一度は開業したが再就職を考え直した」といった場合でも、雇用保険の受給権を失わずに済む可能性があります。

まとめ|制度を理解して、安心して独立を目指そう

退職後の失業給付⑧

退職後にフリーランス薬剤師として独立を目指す方にとって、失業手当の制度をどう活用できるかは大きなポイントです。

失業手当は、就職の意思と求職活動の継続があれば、たとえ開業予定でも受給できる可能性があります。ただし、「準備段階にとどまっていること」や「正直な伝え方」が重要です。

さらに、給付制限の緩和・免除制度や、再就職手当・受給期間延長の特例などを知っておくことで、自分の働き方に合った選択肢を検討できるようになります。

制度を正しく理解し、焦らず段階的に準備を進めていけば、失業手当を活用しながらスムーズな独立も十分に可能です。自分の状況に合った進め方を見つけ、安心して次のステップへ進んでいきましょう。

👉 退職後の制度や手続きについて詳しく知りたい方は、フリーランス薬剤師の退職後制度まとめをご覧ください。