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フリーランス薬剤師の開業準備まとめ|独立前に必要な実務と手続きをまとめて確認

開業準備まとめ(アイキャッチ画像) 退職・開業準備ガイド
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この記事を書いた人
Nao@フリーランス薬剤師

Nao@フリーランス薬剤師|調剤薬局と業務委託契約中
病院・薬局での経験を活かし、自由な働き方やお金の知識をブログで発信しています。
薬剤師免許・認定薬剤師・簿記3級・FP3級保有

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「フリーランス薬剤師として独立したいけれど、何から始めればいいのかわからない」
そんな不安を感じていませんか?

自由な働き方や収入アップの可能性など、フリーランスには大きな魅力があります。
一方で、すべての準備や手続きを自分で進める必要があるため、退職のタイミング、資金の確保、各種書類の提出など、やるべきことの多さに戸惑う方も多いはずです。

この記事では、筆者自身の経験もふまえながら、退職前の準備から、開業に必要な手続き、開業後にスムーズに仕事を始めるためのポイントまでを整理して解説しています。

この記事でわかること:

  • 独立前に見直しておきたいお金や退職の準備
  • 開業までに必要な書類やツールの選び方
  • フリーランスとして仕事を始める前に知っておきたいこと

「とにかく不安…」という状態から、「自分にもできそう!」という安心感を持って次の一歩を踏み出せるよう、実務的な視点でわかりやすく解説していきます。

フリーランス薬剤師になる前に準備すべき心構えと方向性

開業準備まとめ①

フリーランス薬剤師として働く最大の魅力は、時間や場所に縛られず、自分の希望に合わせた働き方ができることです。
収入アップやキャリアの幅を広げるチャンスもあり、「もっと自由に、自分らしく働きたい」と感じている方にとっては、有力な選択肢になるでしょう。

一方で、フリーランスは「すべてを自分で判断し、実行する立場」であることも忘れてはなりません。
どのような働き方を望むのか、どんな業務に対応できるのか、そして、どこまで責任を持てるのか——
本格的に独立を検討する前に、自分の希望や強み、生活スタイルを一度立ち止まって整理してみることが大切です。

とくに初めて独立する場合は、「なんとなく独立してみた」では継続が難しくなります。
まずは、「なぜ独立したいのか?」「どんな働き方を実現したいのか?」という問いに、自分の言葉で答えられるようにしておくことが、安定したスタートにつながります。

心構えや働き方の方向性が見えてきたら、次に考えておきたいのが「お金」のことです。
独立後すぐに安定した収入が得られるとは限らないからこそ、事前の準備が安心感につながります。

独立前に整えておきたいお金のこと

開業準備まとめ②

独立を考えるとき、多くの方がまず不安を感じるのが「生活費は大丈夫か?」というお金の問題です。
開業後すぐに収入が安定するとは限らないため、「生活費の見直し」と「生活防衛資金」の準備は欠かせません。

フリーランス薬剤師としての開業は、比較的初期費用を抑えて始められるのが特徴です。
店舗を構える必要がなく、設備投資もほとんど不要なため、大きな資金を用意せずに始められるケースも多いでしょう。

さらに、生活費の確保に加えて「長期的な資産形成」も意識しておくことで、将来への備えが強化され、より安定したスタートを切ることができます。

👉 家計管理や資産形成の方法について詳しく知りたい方は、以下のまとめ記事をご覧ください。
フリーランス向け家計管理と資産形成まとめ|まず整えるべき5つのポイント

お金の準備とあわせて、現在の勤務先とのやり取りも早めに進めておく必要があります。
ここからは、退職に向けたスケジュールと具体的な準備について確認していきましょう。

退職に向けた準備とスケジュール

開業準備まとめ③

フリーランスとして独立するには、まず勤務先への退職の申し出が必要です。
一般的には、退職希望日の2〜3か月前に上司へ口頭で相談し、1か月前までに退職届を提出するのが望ましいとされています。
退職届の雛形はWEBで探すのが簡単です。退職理由は「一身上の都合」で問題ありません。

退職後に雇用保険の失業給付を申請する予定がある場合は、雇用保険の被保険者期間(原則12か月以上)があるかを事前に確認しておきましょう。
また、失業手当を受ける場合は、開業届を出すと「自営を開始した」と見なされて給付対象外になる可能性があるため、提出のタイミングには注意が必要です。
一方で、失業手当を受けない場合は、退職後すぐに開業届を提出しても特に問題ありません。

そのほか、離職票の受け取りや、健康保険・年金に関する各種書類の返却・切り替え手続きも必要になります。
退職は、フリーランスとしての新しいスタートでもあるため、落ち着いて準備を進め、勤務先とも円満に区切りをつけることが大切です。

退職が完了した後も、フリーランスとしての活動を始めるためには、いくつかの公的手続きが必要です。
ここでは、健康保険や年金、税金など、退職後に対応しておくべき主な手続きを整理しておきましょう。

退職後に必要な手続き

開業準備まとめ④

退職後は、健康保険や年金といった社会保障の手続きに加えて、税金の支払い方法についても自分で管理する必要があります。
これらはフリーランスとして活動を始めるうえで欠かせない土台となるため、早めに確認・対応しておきましょう。

具体的には、次のような手続きが必要です:

  • 健康保険の切り替え(任意継続・薬剤師国保・国保)
  • 国民年金の加入
  • 失業手当の申請(該当者のみ)
  • 住民税や所得税(確定申告)の対応

👉 健康保険・年金・失業手当・税金の対応について詳しく知りたい方は、以下のまとめ記事をご覧ください。
フリーランス薬剤師の退職後制度まとめ|健康保険・年金・税金の対応をまとめて解説

退職にともなう各種手続きがひととおり整ったら、いよいよフリーランスとしての開業準備に進みます。
ここからは、開業届の提出や契約書の準備、事業用ツールの整備など、実務面で押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

開業に向けて準備しておきたいこと

開業準備まとめ⑤

フリーランス薬剤師として独立するには、開業前に整えておきたい実務的な準備がいくつかあります。
なかでも、開業届や青色申告の申請、業務委託契約書、事業用ツールの整備などは、今後の働き方や収支管理に大きく関わる重要なポイントです。

ここでは、スムーズなスタートを切るために押さえておきたい代表的な準備項目を紹介します。

開業届・青色申告承認申請書の提出

開業届は、税務署に提出する届出書類で、事業を開始した日から1か月以内の提出が目安です。
青色申告の承認申請も同時に行うことで、最大65万円の青色申告特別控除や赤字の繰越など、節税面でのメリットが得られます。

👉 開業届と青色申告の書き方がわからない方は、こちらの記事で作成手順を画像付きでわかりやすく解説しています。
マネーフォワード活用ガイド|開業届と青色申告承認を一括作成する手順

インボイス制度への対応

2023年から導入されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、取引先(得意先)が消費税の仕入税額控除を受けるために、インボイス(適格請求書)の発行が必要になる制度です。

ただし、フリーランス薬剤師が委託される調剤薬局の多くは、調剤報酬を主とする非課税売上が中心の事業者であるため、仕入税額控除を必要としないケースが一般的です。
現時点では、インボイス未登録でも支障が出ることはほとんどありません(筆者も未登録です)。

開業当初は免税事業者としてスタートし、取引先の要望や売上状況に応じて、後から登録を検討するのが現実的です。
制度に迷った場合は、税理士などの専門家に相談するのをおすすめします。

業務委託契約書の準備

報酬・業務範囲・支払い条件などを明確にする契約書は、業務開始前に必ず準備しておくべき重要書類です。
テンプレートの活用方法も含め、詳細な手順は別記事で解説しています。

👉 フリーランス薬剤師向けの業務委託契約書の基本と作成手順については、こちらの記事で詳しく解説しています。
マネーフォワード活用ガイド|契約書テンプレートで業務委託契約を作成する方法

薬剤師賠償責任保険への加入

フリーランスとして勤務する場合、万が一の事故に備えて薬剤師賠償責任保険への加入は必須です。数千万円の賠償責任を負った判例もあるため必要と考えます。勤務薬剤師時代から加入している方が多いと思いますが、独立後も引き続き必要な保険です。

保険の加入証明書を求められるケースもあるため、契約内容や補償範囲を確認し、加入証明書もクラウド上で保管しておくことをおすすめします。加入するのは日本薬剤師会の薬剤師賠償責任保険で十分です。

業務に必要なツールを整える

開業後の業務をスムーズに進めるために、お金・情報・やりとりの管理を支えるツールを整えておくことが大切です。
ここでは、筆者も実際に導入しているツールを例に、フリーランス薬剤師におすすめの環境整備をご紹介します。

事業用銀行口座の準備

入出金をプライベートと分けて管理することで、帳簿作成や確定申告がスムーズになります。筆者は楽天銀行を利用しています。

👉 事業用の銀行口座を分ける理由と開設方法については、こちらの記事で詳しく解説しています:
事業用銀行口座の始め方|開業前にすべき準備とは?楽天銀行の活用例も紹介

事業用クレジットカードの準備

経費を分かりやすく管理するため、事業用カードを別に用意しましょう。会計ソフトと連携できるカードがおすすめです。

👉 経費管理に役立つクレジットカードの選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています:
事業用クレジットカードの始め方|楽天カード2枚目とMFビジネスカード活用例

会計ソフトの導入

日々の仕訳や帳簿作成、確定申告の負担を減らすには、クラウド会計ソフトが便利です。筆者はMFクラウドを利用しています。

👉 実際の契約方法や初期設定の手順については、こちらの記事で詳しく解説しています:
マネーフォワード確定申告ガイド|導入編:契約と初期設定の手順

👉 日々の仕訳入力や帳簿作成など、マネーフォワードクラウド確定申告の基本操作については、こちらの記事で詳しく解説しています:
マネーフォワード確定申告ガイド|実務編:データ連携から仕訳登録までの使い方

👉 日々の記帳を終えたあとの決算処理や、確定申告書の作成ステップについては、こちらの記事で詳しく解説しています:
[マネーフォワード確定申告ガイド|応用編:クラウド帳簿+国税庁サイトで申告する方法(準備中)]

このように、マネーフォワードクラウドを活用することで、日々の記帳から申告書の作成まで一貫して対応することが可能になります。

請求書作成ツールの導入

報酬の受け取り漏れを防ぐため、請求書は早めにクラウド管理できる仕組みを整えましょう。筆者は「マネーフォワードクラウド請求書」を利用しています。

👉 請求書の基本とクラウド請求書の活用方法を、こちらの記事でわかりやすく解説しています:
マネーフォワード活用ガイド|請求書を正確・効率的に発行する方法

独自ドメインメールとクラウド環境の導入

「info@〜」のような独自ドメインのメールは信頼感を高め、取引先とのやり取りもスムーズになります。
さらに、Google Workspaceと組み合わせれば、メールだけでなくカレンダー・文書作成・ファイル管理まで、仕事に必要なツールをひとつの環境で一元管理できます。

👉 独自ドメインメールアドレスの取得から、Google Workspaceの設定・活用までの手順を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
Google Workspace活用術まとめ|フリーランスの仕事環境を統一する最適解

業務に必要な書類・持ち物を整える

フリーランス薬剤師として業務を始めるにあたっては、税務や契約書類の準備に加え、業務現場で求められる実務的な書類や持ち物の整備も欠かせません。スムーズに仕事を開始するため、以下のような項目は事前に確認・準備しておくと安心です。

薬剤師免許証・保険薬剤師登録証の管理

業務委託契約先から提示を求められることがあるため、薬剤師免許証と保険薬剤師登録証の原本が手元にあることを事前に確認しておきましょう。

筆者は、これらの証書をスキャンしてクラウドストレージ(例:Googleドライブ等)に保管し、必要な場面ではコンビニなどで印刷する運用にしています。紙のコピーを事前に用意するよりも柔軟で、外出先でも対応しやすく便利です。

契約書類(業務委託契約書など)もあわせてクラウド上で管理しておくと、紛失リスクを減らしつつ必要なときにすぐアクセスできて安心です。

名刺の準備(デザイン&印刷)

名刺はフリーランスとしての基本的なビジネスマナーのひとつです。なんだかんだで必要になる場面も少なくありません。無料デザインツールの「Canva(キャンバ)」と印刷サービスの「ラクスル」などを活用すれば、費用を抑えて高品質な名刺を簡単に作成・印刷することが可能です。

フリーランス薬剤師としての肩書きや連絡先、独自ドメインのメールアドレスなどを明記しておくと、信頼感を高めるのに役立ちます。

現場で使う業務用の持ち物

白衣・シューズ・印鑑(シャチハタ)・ボールペン・メモ帳・電卓など、勤務先によっては備品が提供されないケースもあるため、最低限の業務用品は自分で持参できるように準備しておくと安心です。勤務先によっては他にも必要なものが出てくるため、初出勤前に確認しておくと良いでしょう(筆者はこれに加えて、PTP簡易取出し器や半錠はさみなど、最低限の調剤器具も持参しています)。

こうした開業前の準備をひとつずつ整えておくことで、初出勤の日を安心して迎えることができます。不安があれば、ひとつずつ整えていけば大丈夫です。

開業後に気をつけたいこと

開業準備まとめ⑥

開業の手続きが完了しても、それで準備がすべて終わるわけではありません。
実際にフリーランスとして働き始めると、スケジュール管理・報酬管理・セルフマネジメントといった日々の実務が、安定した働き方を築くカギになります。

ここでは、開業直後によくある注意点や、押さえておきたいポイントを紹介します。

スケジュールとタスクを整える

案件が重なると予定が煩雑になりがちです。
カレンダーやタスク管理アプリを使って、勤務日・稼働時間・請求先からの入金予定日などを可視化しておくと、抜け漏れを防げます。
Googleカレンダーなど、使いやすいツールを自分に合わせて選びましょう。

請求書発行は早めに仕組み化する

報酬を確実に受け取るには、請求書の作成・送付をスムーズに行う仕組みが欠かせません。
Excelや手書きでも対応可能ですが、件数が増えるとミスや遅延のリスクが高まるため、早い段階で請求書作成ツールの導入を検討するのがおすすめです。

経費の整理と帳簿管理を習慣化する

フリーランス薬剤師として活動する中で発生する主な経費には、

  • 薬剤師賠償責任保険料
  • 日本薬剤師会の年会費
  • 会計ソフトの利用料
  • 業務用の交通費や文房具費

などがあります。

これらの経費は科目別に整理し、領収書やレシートを保管しておくことが重要です。
記帳や経費登録はまとめてではなく、会計ソフトを使って日々の習慣として対応すると、申告時のミスや負担を軽減できます。

信頼関係を大切にする

初めて契約するクライアントとは、やり取りや現場での対応のひとつひとつが信頼の積み重ねになります。
報告のタイミングや相談の姿勢など、基本的なやりとりの丁寧さが、リピートや紹介につながることも多いです。

オン・オフの切り替えを意識する

在宅・現場・移動など、働き方の自由度が高いからこそ、自分で「休む時間」を意識的に確保することが必要です。
心身のコンディションを整えることが、フリーランスとしての継続力を支える土台になります。

こうした「働き方」「時間管理」「お金の整理」を日々見直しながら、自分なりのスタイルを育てていくことが、無理のない独立生活と、信頼される働き方の基盤になります。
フリーランスとしての一歩一歩が、自分らしいキャリアの土台となっていくはずです。

フリーランス薬剤師としての独立に向けて、必要な心構えから実務的な準備までを一通り確認してきました。
最後に、あらためてこの記事の要点を振り返ってみましょう。

まとめ|丁寧な準備が独立の第一歩

開業準備まとめ⑦

フリーランス薬剤師として独立・開業するには、単に手続きを済ませるだけでなく、
お金・働き方・業務環境・契約まわりまで、実務に直結する準備をトータルで整えることが大切です。

たとえば、開業前の貯蓄や生活設計、退職時のスケジューリングと制度確認、開業書類・契約・ツールの整備など、
一つひとつを丁寧に進めることで、不安を安心に変え、自信を持って一歩を踏み出すことができます。

また、開業後もスケジュール管理・請求・帳簿づけ・健康管理といった日常業務の積み重ねが、
信頼される働き方とフリーランスとしての継続性を支えてくれます。

このガイドを通して、自分に合った準備や働き方のヒントが見つかれば幸いです。
無理のないペースで、自分らしい独立スタイルを築いていきましょう。

📌 今回ご紹介した準備内容をもとに、自分なりのチェックリストを作成しておくと安心です。
必要に応じてこの記事を見直しながら、焦らず一歩ずつ進めていきましょう。