フリーランス薬剤師として開業し、マネーフォワードクラウド確定申告を導入したものの、
「結局、どこから何をすればいいの?」と戸惑っていませんか?
この実務編では、日々の記帳や帳簿作成の基本操作をわかりやすく解説します。
銀行口座やクレジットカードとの連携方法、仕訳の入力、帳簿の確認、
そして 開業費・家事按分・事業主勘定など、初年度から押さえておきたい基本処理まで、マネーフォワードを使った記帳実務を一通りカバーします。
操作に不安がある方でも迷わず進められるよう、注意点や具体例も紹介しています。
とくにフリーランス薬剤師として初めて確定申告に臨む方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事は、以下の「導入編」記事の続きにあたります。
まだサービスを導入していない方や、初期設定に不安がある方は、先に以下の記事をご覧ください。
👉 マネーフォワード確定申告ガイド|導入編:契約と初期設定の手順
マネーフォワードの初期設定が完了したら、いよいよ実際の帳簿作業に入っていきます。
まずは、日々の記帳を効率化するための「データ連携」から見ていきましょう。
🌐 記帳をもっとラクに|データ連携のすすめ

マネーフォワードクラウド確定申告を活用すれば、銀行口座やクレジットカードと連携するだけで、取引明細を自動で帳簿に取り込むことができます。 手入力の手間や記帳ミスを減らせるため、フリーランスにとって非常に心強い機能です。
とくに、初年度は経理業務に慣れていないことも多く、日々の記帳が負担に感じやすい時期。 こうした自動連携を活用して、なるべく記帳作業をシンプルにしておくと、確定申告の直前になって慌てるリスクを減らすことができます。
このセクションでは、銀行口座・カードの登録手順と、よくある登録時のミスや注意点をわかりやすく解説していきます。
銀行口座・クレジットカードとの連携手順
マネーフォワードクラウド確定申告では、銀行やカード会社と連携して取引明細を自動で取り込むことができます。手順はとてもシンプルで、サービス内の「データ連携」から登録するだけでOKです。
【連携の基本手順】
- 左メニューの「データ連携」から「新規登録」を選択
- 検索窓に銀行名やカード名を入力し、該当するサービスを選ぶ
- ログインIDやパスワードなど必要な情報を入力
- 認証が完了すると、明細の取り込みが始まる


登録できるのは、銀行口座、クレジットカード、電子マネーなど多岐にわたります。
フリーランスとしては、まず事業用の銀行口座とクレジットカードを優先して登録しておくのがおすすめです。
登録時の注意点と設定ミスの防ぎ方
金融機関の登録は一見シンプルですが、設定ミスによって明細が正しく取り込まれなかったり、プライベートの取引が混ざってしまうケースもあります。
とくに以下の3つは、筆者の実例をもとに注意点を紹介しておきます。
✅ 楽天銀行(個人ビジネス口座)は「法人用」を選ぶ
楽天銀行には【個人】と【法人】の2種類がありますが、個人ビジネス口座を登録する際は、【法人】楽天銀行を選択してください。
個人事業だと【個人】を選びたくなりますが、【個人】楽天銀行はプライベート用の銀行口座のことです。

✅ 楽天カードは1枚ずつではなく「楽天カード全体」で連携される
楽天カードを2枚(プライベート用・事業用)持っている場合でも、マネーフォワードではカード単位ではなく「楽天カード全体」として連携されます。
そのため、プライベート用カードの明細を取り込まないようにするには、「登録済一覧」画面で対象外に設定する必要があります。


✅ MFビジネスカードは2通りの方法で連携可能
マネーフォワードが提供する「MFビジネスカード」は、
以下のどちらかの方法で連携設定が可能です:
① 「マネーフォワードクラウド確定申告」の「データ連携」画面から検索・登録する
② 自分で「マネーフォワード Pay for Business」にアクセスし、連携設定を行う
👉 本記事内の操作画面は「Pay for Business」に移動した後の設定手順を紹介しています。


💡連携の際には、「マネーフォワードビジネスカード」ではなく「マネーフォワード Pay for Business」という名称で表示されます。
名称が異なるため戸惑うかもしれませんが、問題なく連携できます。
🌿 仕訳の基本を押さえよう|自動仕訳・手動入力・請求書との連携まで
帳簿付けで欠かせないのが「仕訳」の作業です。
マネーフォワードには複数の仕訳機能がありますが、 このセクションでは、実務で特に使用頻度の高い以下の3つを中心に紹介します:
- 銀行やカードの明細をもとに勘定科目を自動で提案してくれる自動仕訳
- 開業費や家事按分、現金払いなどに対応する手動仕訳
- 請求書と連携して売上や入金を自動で反映する請求書連携
それぞれの使い方と注意点を順に解説していきます。
自動仕訳の流れとよくある勘定科目
銀行口座やクレジットカードをマネーフォワードに連携しておくと、取引明細が自動で取り込まれ、AIが内容を判別して仕訳を提案してくれます。これが「自動仕訳」の仕組みです。
操作の流れ(例):
- 左メニューの「自動で仕訳」→「連携サービスから入力」を選ぶ
- 取り込まれた明細が一覧表示される
- AIが内容に応じて勘定科目などを自動提案
- 内容を確認し、「登録」ボタンをクリック
※ 提案された勘定科目が合わないこともあるため、内容は必ず確認しましょう。
一度修正すれば、次回以降はその科目が自動で提案されます。


💡 ホーム画面の「未仕訳の取引」からも仕訳登録画面に移動できます。
📌 よくある例(薬剤師の場合):
参考書のカード決済 → 新聞図書費
ネットバンキングで薬剤師会費支払 → 諸会費
手動仕訳で対応すべきケースと操作方法
マネーフォワードの自動仕訳は便利ですが、すべての取引が完全に処理できるわけではありません。以下のようなケースでは、手動で仕訳を登録する必要があります。
手動仕訳が必要になる主なケース:
- 開業費や元入金など、初年度に発生しやすい取引
- 自宅の家賃や光熱費など、按分が必要な支出
- 現金払い・ポイント利用など、明細が自動で取り込まれない取引
操作の流れ(例):
- 左メニューの「手動で仕訳」→「振替伝票入力」を選ぶ
- 日付・勘定科目・金額・取引先などを入力
- 摘要欄に取引内容を具体的に記載
- 「登録」をクリックして完了


📌 よくある例:
書店で参考書を現金購入 → 新聞図書費/現金
立替で支払 → 新聞図書費/事業主借
生活費を引き出し → 事業主貸/普通預金
💡 頻度の高い取引は「仕訳辞書」に登録すると効率的です。
請求書との連携で売上と入金を記録する
マネーフォワード クラウド請求書と連携すれば、売上や入金の仕訳登録を効率化できます。
請求書を作成・登録すると、「売掛金/売上」の未仕訳データが自動で作成されます。
内容を確認してから、仕訳データとして登録します。
入金があると、金融機関の明細が未仕訳データとして表示されます。
これを請求書と照らし合わせて、「普通預金/売掛金」の入金仕訳として登録します。
操作の流れ(例):
- 請求書側の設定で「会計連動」をONにする
- 請求書を作成・登録すると売上の未仕訳データ(売掛金/売上)が自動で登録される
- 内容を確認後、売上仕訳データ(売掛金/売上)として登録する
- 入金後、金融機関の明細と照合し、入金仕訳を登録する(普通預金/売掛金)
⚠ MF請求書側で「入金済み」に変更しても、仕訳には自動反映されません。
入金仕訳の登録は、クラウド確定申告側で手動対応が必要です。


💡 他社サービスで請求書を作成している場合は、「手動で仕訳」から売上と入金を登録しましょう。
👉 登録した仕訳が帳簿全体とズレていないか、必ず確認しましょう。特に売掛金や入金処理はミスが起こりやすいので注意が必要です。
📘 帳簿チェックのコツ|定期的に確認したいポイント

帳簿はつけるだけでなく、定期的に見直すことが大切です。
入力ミスや漏れを防ぐことで、申告前に慌てずに済みます。
このセクションでは、「どこを見ればいいか」「何をチェックすべきか」を、
実際の画面例とともにわかりやすく解説します。
会計帳簿の見方と活用法
帳簿に入力した内容は、あとから確認する習慣が大切です。
マネーフォワードクラウド確定申告では、左メニューの「会計帳簿」からいつでも確認できます。
まずは、実際の画面を見ながら帳簿の開き方をチェックしてみましょう。

各帳簿の役割と活用方法は以下の通りです。
帳簿名 | 内容 | 活用例 |
---|---|---|
仕訳帳 | 登録済み仕訳の一覧 | 入力ミスの確認 |
総勘定元帳 | 科目ごとの取引明細 | 科目別の内訳把握 |
残高試算表 | 科目ごとの合計 | 全体のバランス確認 |
推移表 | 月ごとの変化を一覧表示 | 経費の増減傾向チェック |
💡月に1回程度、帳簿全体を見直す習慣をつけておくと安心です。
経費の異常や入力ミスに気づくには?
入力ミスや漏れは、帳簿全体の信頼性に影響します。
とくに開業初年度は、経費の付け忘れや勘定科目の誤選択が起きやすいため、
以下のポイントを意識して定期的にチェックしましょう。
💡 確認ポイント:
- 前月・前年と比べて、支出に大きな変動がないか
- 現金払いや振込の記帳漏れがないか(通帳・レシートを確認)
- 未登録の自動連携データが残っていないか
- プライベート支出が帳簿に混ざっていないか
毎月の帳簿を締めるタイミングで「変な数字がないか」をざっと見直すだけでも、ミスを防げます。
次は、開業初年度に特有の処理について見ていきましょう。
📘 開業初年度に覚えておきたい3つの帳簿処理

開業初年度は、事業に関する支出や資金の流れがこれまでと大きく変わります。
帳簿づけに不慣れな段階で「これはどう処理すればいいの?」と迷う場面も出てくるでしょう。
特に、開業費・家事按分・事業主勘定(事業主貸・借)といった処理は、最初に理解しておくことでスムーズな記帳と確定申告につながります。
このセクションでは、具体的な仕訳例を交えながら、開業初年度に押さえておきたい3つの帳簿処理をわかりやすく解説します。
開業費の仕訳と元入金との関係
開業準備中に支払った「事業を始めるための支出」は、まとめて開業費として処理できます。
たとえば、以下のような支出が対象です:
- 開業届の提出にかかった交通費
- 名刺や印鑑、白衣などの消耗品購入費
- 会計ソフトやホームページ作成サービスの利用料
- 開業に向けた参考書の購入費や研修費用
これらは「繰延資産(開業費)」として一時的に資産計上し、後から一括または分割で経費にできます。
💡 一般的には年度内で一括償却することが多いですが、初年度の利益が少ない場合は翌年以降に回すことも可能です。
(例)開業前に購入したノートPCの記帳:
開業費 100,000/元入金 100,000
💡「元入金」は、個人事業における資本金のようなものです。開業にあたり事業主が自分で用意したお金を記録するための勘定科目です。
家事按分の考え方と代表的なケース
事業を始めると、ひとつの支出に「仕事用」と「プライベート用」が混在することがよくあります。このような場合、事業で使った分だけを経費にする処理が「家事按分」です。
たとえば、以下のような支出が按分対象になります:
- 家賃:自宅の一部を仕事スペースとして使っている場合、その割合を按分
- 光熱費:自宅の電気代など(※水道・ガス代は薬剤師業務には通常不要)
- 通信費:インターネットやスマートフォン代(業務使用分を按分)
- 自動車関連費:業務に使ったガソリン代・車検費用など
按分比率は、自分で合理的に決めてOKです。たとえば「8時間×月20日間=業務40%」など、
使用面積や時間に基づいて設定し、メモを残しておくと安心です(税務署への提出は不要)。
(例)家賃100,000円のうち、40%を事業用として按分する場合:
地代家賃 40,000/事業主借 100,000
事業主貸 60,000
※ 家賃全額をプライベート口座から支払った場合、事業用の40,000円は「地代家賃」、残りの60,000円は「事業主貸」として記帳します。
この仕訳では、「事業主借」を使って プライベート資金で立て替えた分を補う形になっています。
事業主勘定(事業主貸・借)の仕組みと使い方
個人事業では、プライベートと事業のお金を完全に分けるのが難しい場面もあります。そんなときに使うのが、「事業主貸」と「事業主借」という勘定科目です。
- 事業主貸: 事業用口座から生活費などを引き出したとき
- 事業主借: プライベート口座や現金で事業支出を立て替えたとき
💬 実務上のポイント:
💬 実務上のポイント:
- 現金でのやり取りは、記帳ミスや管理の手間につながりやすくなります。
- そのため、フリーランスの場合は、現金勘定を使わずにプライベート資金で立て替え、「事業主借/貸」で記帳するほうがスムーズです。
- 立替払いの場合でも、領収書やレシートは忘れずに保管しておきましょう。
📌 使用例:
生活費を事業用口座から引き出した場合:
事業主貸 100,000/普通預金 100,000
プライベート口座で書籍を購入した場合:
新聞図書費 3,000/事業主借 3,000
決算時の処理:
「事業主貸」「事業主借」のどちらか一方を相殺して帳簿を整理します。
(例)事業主貸残高40,000円、事業主借残高70,000円があった場合、少ない方(40,000円)を相殺:
事業主借 40,000/事業主貸 40,000
翌期首の処理:
(例)残った事業主借30,000円は「元入金」へ振り替えます。
事業主借 30,000/元入金 30,000
仕訳や帳簿の基本を押さえたら、あとは実際に運用しながら慣れていきましょう。
まとめ|仕訳と帳簿の基本を押さえて、確定申告をスムーズに

ここまで、マネーフォワードクラウド確定申告の基本操作と、開業初年度に覚えておきたい仕訳処理のポイントを解説してきました。
個人事業の帳簿づけは、一見むずかしく感じるかもしれませんが、ルールを押さえておけば大きな負担にはなりません。
特に開業初年度は、「開業費」「家事按分」「事業主勘定」など独特な処理を覚える必要がありますが、一つひとつ丁寧に記帳していくことで、確定申告をスムーズに進められます。
マネーフォワードクラウド確定申告を使えば、銀行口座やクレジットカードとの連携、自動仕訳などを通じて、日々の記帳を効率化できます。
💡 取引をこまめに記帳し、月ごとに帳簿を見直す習慣があれば、確定申告前に慌てずに済みます。
✅ 次に進めるアクションはこちら:
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筆者も実際に使っているツールです。使い勝手を試してみたい方は、以下のリンクからどうぞ。
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👉 はじめてでも安心のサポート体制 マネーフォワード クラウド確定申告
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先に、会計ソフトの導入方法から確認したい方はこちらの記事を参考にして下さい。
👉 導入編:契約と初期設定の手順(当サイト記事|これから会計ソフトを始める方向け)
次は、記帳と帳簿チェックを終えたら、いよいよ確定申告フェーズへ。
e-Taxでの提出や控除入力、青色申告特別控除を活かすコツなど、具体的な作成手順はこちらの記事で解説します。
👉 [応用編(当サイト記事|確定申告書の作成と提出の流れ)](準備中)
また、確定申告以外にも、開業準備で押さえておきたいポイントがあります。事業用口座やカードの準備も含めて確認できます。
👉 事業用口座の始め方(当サイト記事|楽天銀行個人ビジネス口座の開設手順と注意点)
👉 [事業用クレジットカードの始め方(当サイト記事|楽天カードとMFビジネスカードの活用例を紹介)](準備中)
さらに、開業における全体像はこちらの記事でまとめています。