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マネーフォワード活用ガイド|契約書テンプレートで業務委託契約を作成する方法

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Nao@フリーランス薬剤師

Nao@フリーランス薬剤師|調剤薬局と業務委託契約中
病院・薬局での経験を活かし、自由な働き方やお金の知識をブログで発信しています。
薬剤師免許・認定薬剤師・簿記3級・FP3級保有

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フリーランス薬剤師として独立した際、業務委託契約書の有無はその後の働き方に大きく影響します

「雇用契約との違いがよくわからない」「テンプレートだけで本当に大丈夫?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

実際に、契約内容が曖昧なまま働いたことでトラブルにつながるケースもあります。

この記事では、契約書の基本的な構成や注意点、無料テンプレートを活用した準備の方法を、薬剤師としての実務に沿ってわかりやすく解説します。

まずは、自分の働き方に合った契約内容を整理することから始めてみましょう。

業務委託契約の基本と種類

マネフォガイド契約書①

業務委託契約を結ぶ前に、「雇用契約との違い」や「契約の種類」をしっかり理解しておくことが重要です。
このセクションでは、フリーランス薬剤師として押さえておきたい基本事項を整理します。

雇用契約と業務委託契約の違い

契約形態指揮命令法的保護報酬の性質
雇用契約あり(勤務時間・業務内容に従う)労働法の適用(社会保険・労災など)労働に対する賃金
業務委託契約なし(業務の遂行方法は自由)労働法の適用外(自分で保険加入など)業務成果・遂行に対する報酬

業務委託契約の種類と違い

業務委託契約には主に3つの種類があり、目的や業務内容によって使い分けが必要です。

  • 請負契約
     成果物(完成した仕事)を納品することが目的
     例:Webサイト制作、原稿執筆 など
  • 準委任契約
     業務の遂行そのものが目的となる契約
     例:医療事務、コンサルティング、薬剤師の調剤・服薬指導業務 など
  • 委任契約
     法律行為などの代理権を含む契約
     例:弁護士の代理業務、税理士の申告代理 など

※薬剤師業務は「業務の遂行」に報酬が支払われるため、契約形態としては準委任契約に該当するケースが多いと考えられます。

なお、契約書に記載された契約形態が、実際の業務の進め方と一致していない場合、トラブルに発展するリスクがあります。

契約書の内容だけで安心せず、実際の働き方との整合性にも注意が必要です。この点については、次のセクションで詳しく解説します。

偽装請負とは?契約書だけでは守れないリスク

マネフォガイド契約書②

契約書を整えていても、実際の働き方が「雇用」に近い場合は注意が必要です。特に問題となるのが「偽装請負」と呼ばれるケースです。

形式上は業務委託契約でも、実態が雇用関係に近ければ、契約の有効性が疑われるリスクがあります。たとえば以下のようなケースでは、業務委託ではなく雇用に近いと判断される可能性があります:

  • 勤務時間や休憩時間が明確に指定されている
  • 出退勤がタイムカードで管理されている
  • 委託元のスタッフが業務の進め方を直接指示してくる
  • 契約書に「就業規則に従う」と記載されている
  • 業務に必要な備品をすべて委託元が用意している

本来、業務委託では受託者が自らの裁量で業務を遂行することが原則です。この原則が崩れると、行政指導や罰則の対象となるリスクがあります。

ただし、薬剤師業務では、調剤機器やレセプトコンピューターなどの設備を委託元が用意するのは一般的であり、それ自体は指揮命令に直結するものではありません。一方で、白衣や筆記具などの個人使用物は、受託者が自身で準備するケースも多く、業務の自営性(独立性)を示す一要素とされることがあります。

重要なのは、設備提供や依頼内容が「指揮命令」に該当するかどうかです。受託者が自らの判断で業務を行える状態が維持されていれば、委託元との連携や相談は問題ありません

実際の現場では、委託元からの「指示」ではなく「依頼」や「お願い」ベースの調整が行われることもあります。たとえば、薬局側の意向に反して在宅訪問などを独断で行うと、業務に支障をきたす可能性があります。業務内容に関する調整は、必ず事前に委託元と認識を共有しておくことが大切です。

契約書の記載内容だけでなく、実際の働き方も含めて独立性を保つことが大切です。

👉 詳しくはこちら:労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド(厚生労働省)

こうしたリスクを避けるためにも、契約内容を自ら把握し、独立性を保てるような契約書を整備することが大切です。

次のセクションでは、無料テンプレートを活用しながら、フリーランス薬剤師としての契約書を準備する手順をご紹介します。

無料テンプレートを活用した契約書作成のステップ

マネフォガイド契約書③

契約書の重要性や注意点が分かったところで、次は「実際にどうやって契約書を準備すればいいのか?」という疑問に答えていきます。

このセクションでは、マネーフォワードクラウドが提供する無料テンプレートを使って、自分で契約書を整える方法を解説します。特別なソフトやサービスは不要で、Word形式のテンプレートをダウンロードして書き換えるだけ。フリーランス薬剤師の方でも簡単に始められます。

テンプレートのダウンロード手順(画像で解説)

マネフォガイド契約①
マネフォガイド契約②
マネフォガイド契約③
マネフォガイド契約④
マネフォガイド契約⑤
マネフォガイド契約⑥
マネフォガイド契約⑦

補足:手順の流れ(画像の補足説明)

  1. マネーフォワードクラウドの公式ページを開き、ログインせずに下へスクロール
  2. 「法務関連テンプレート集」をクリックし、検索窓に「薬剤師 業務委託契約書」と入力
  3. 検索結果から該当テンプレートを選び、ダウンロードページへ
  4. メールアドレスを入力し、「個人事業主にチェック」「利用規約に同意」にチェック後、無料ダウンロード
  5. 登録したメールアドレス宛に届いたリンクから、Word形式でテンプレートを入手できます。

テンプレートをダウンロードしたら、次に紹介する重要項目を参考にしながら、契約書の内容を確認・記入してみましょう。

実際の契約書をもとに解説|フリーランス薬剤師のための重要項目

マネフォガイド契約書④

ここでは、実際に使用している業務委託契約書の雛形をもとに、薬剤師の契約で押さえておきたい主要な条文とその確認ポイントをご紹介します。あくまで一例ですが、契約書を作成・修正する際の参考としてご活用ください。

第1条(業務の内容)
薬剤師としての具体的な業務内容(例:調剤、監査、服薬指導、薬歴記載、在宅訪問など)や、業務を行う薬局の店舗名・所在地などを明記します。業務範囲が曖昧な場合は、必要に応じて明確に記載しておくことが大切です。

第2条(契約期間および更新)
契約の開始日と終了日は、「契約締結日から最初に到来する3月31日まで」など、年度単位で区切る形式にしておくと、見直しのタイミングが明確になり、実務上も扱いやすくなります。
また、契約の更新については、「自動更新」「○日前までに更新拒否を通知」などの形式を記載します。継続的な契約が想定される場合は、更新方法の記載があると安心です。

第3条(報酬および支払方法)
時間あたりの報酬や計算単位(例:15分単位)、支払方法、振込手数料の扱いなどを明確にしておく必要があります。また、交通費の支給有無も事前に取り決めて記載しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

第4条以降の条項について
第4条以降(例:秘密保持、損害賠償、個人情報の取り扱い、管轄裁判所など)は、基本的にテンプレートの内容をそのまま使用しても差し支えない、一般的な定型条項です。
不明点がある場合や業務内容に合わせて調整したい場合は、必要に応じて専門家(弁護士など)に相談すると安心です。

契約書の雛形を整えたあとは、実際の契約を交わす段階で、委託元と内容を調整するケースもあります。次のセクションでは、契約時の注意点や実務上のポイントについて解説します。

契約書を交わすときの注意点と実務アドバイス

マネフォガイド契約書⑤

契約書の内容を確認・記入する段階では、単にテンプレートを書き換えるだけでなく、相手方との認識のすり合わせや、今後のトラブル回避という観点も重要です。ここでは契約締結前後に意識しておきたい実務ポイントをご紹介します。

業務の取り決めは書面に残す
口頭やメールでやり取りした内容も、最終的には契約書に明記しておくことが基本です。曖昧な取り決めや「あとで調整しましょう」といった合意は、後のトラブルにつながるおそれがあります。

契約内容に疑問があれば遠慮なく相談を
契約書の内容に不明点や違和感があれば、委託元に確認・相談することをためらわないようにしましょう。丁寧な交渉姿勢は、信頼関係の構築にもつながります。

契約内容の変更は書面で合意を
契約後に業務内容や条件を変更する場合は、必ず書面での合意を取りましょう。口頭での変更や、「一時的な対応」として曖昧に済ませることは避けるべきです。

契約書は一方的に受け取るものではなく、交渉のベース
契約書はあくまで双方の合意を文書にするためのものです。委託元の提示する書類に違和感があれば、自分の働き方に沿うよう内容の調整を相談する姿勢が大切です。

まとめ|フリーランス薬剤師の契約は「準備と確認」がすべて

マネフォガイド契約書⑥

この記事では、フリーランス薬剤師として働くにあたって欠かせない業務委託契約について、契約書の基本構造や確認すべき項目、リスクを避けるための実務ポイントをご紹介しました。

契約書は働き方のルールを定める設計図です。内容をしっかり理解せずに署名・押印してしまうと、意図しない条件で働くことになり、思わぬトラブルを招くおそれがあります。

まずは信頼できる雛形を用意し、必要な項目を確認・調整しながら、自分の働き方に合った契約内容かを見直すことが大切です。加えて、実際の業務の進め方が契約内容と矛盾しないよう意識することで、形式と実態のズレを防ぐことができます。

契約内容に不安がある場合は、フリーランス向けの支援窓口や専門家(弁護士など)への相談も視野に入れておくと安心です。あらかじめ備えておくことで、より自信を持って業務に取り組めるでしょう。

👉 開業準備について詳しく知りたい方は、フリーランス薬剤師の開業準備まとめをご覧ください。

※本記事は実務上の参考情報を提供するものであり、法的助言を目的としたものではありません。契約の内容確認や調整にあたって不明点がある場合は、弁護士などの専門家への相談をおすすめします。