フリーランス薬剤師として独立を考えたとき、
最初にぶつかる壁が「最初の案件をどう確保するか」です。
私自身も、独立を意識し始めた頃はここが大きな不安でした。
マッチングサービスを使うのか、派遣を活用するのか、
それとも自分で営業するのか──。
情報はあっても、どれが現実的なのか見極めるのは簡単ではありません。
そんななかで私が選んだのは、
「同じ職場で、雇用から業務委託へ切り替える」という初案件のつくり方でした。
長く勤めた薬局で信頼関係があり、仕事内容も変わらない。
その“土台”があったからこそ、安全に独立の一歩を踏み出せたと感じています。
読み進めることで、
- この方法(同じ職場で業務委託へ移行)にどうたどり着いたのか
- 相談から契約成立までの具体的なプロセス
- この働き方が成立した理由と、検討時に押さえておきたい注意点
こうした流れが自然に整理できるようになっています。
もちろん、この方法はすべての人に当てはまるわけではありません。
ただ、条件が揃えば独立初期の不安を大きく減らし、収入の土台を確保したまま独立できる選択肢 になり得ます。
「最初の案件が不安」
「いきなり完全独立はハードルが高い」
そんな方にとって、ひとつの現実的な参考例になれば幸いです。
退職前後の流れを確認したい方はこちらもどうぞ。
👉 退職準備とスケジュールの立て方|独立を見据える薬剤師の退職ガイド
最初の案件はこう作った|同じ職場で業務委託へ切り替えた理由

独立を意識し始めた頃、私は “雇用のまま働き続けること” に小さな違和感を抱えていました。
働き方や時間の使い方、キャリアの方向性──こうした背景については以前の記事でも触れましたが、「もっと自由な働き方を選びたい」という思いは少しずつ大きくなっていました。
とはいえ、まったく新しい環境でいきなり案件を探すのは、心理的にも実務的にも負担が大きいものです。
そこで私が選んだのは、
「今の職場で、雇用から業務委託へ契約形態を切り替える」という方法
でした。
長く勤めていた薬局でそれなりに信頼関係があり、仕事内容も大きく変わらない。
そのため、私にとっては負担が少なく、現実的に独立へ踏み出せる“半歩”だったと感じています。
契約形態が雇用から業務委託に変わることで、
- 時間の使い方を調整しやすくなる
- 指揮命令の受け方が変わり、働き方の自由度が増す
といった違いが生まれ、仕事内容が同じでも“働き方としてはまったく別物”という感覚がありました。
調剤薬局という現場では、この方法が成立するかどうかは個別事情によって大きく左右されます。
そのためこの記事では「こうすべき」という推奨ではなく、
「こうした進め方も現実にあり得る」という一例
として紹介しています。
最初の案件づくりに悩んでいる方の、選択肢を広げるヒントになれば嬉しく思います。
では、そもそも「最初の案件」がなぜこれほど大きな不安になるのか。
次のセクションでは、その理由と、契約切り替えがもたらした安心感を整理していきます。
最初の案件が不安な理由と、契約切り替えがもたらした安心感

独立を考えたとき、多くの薬剤師が最初に感じるのが、
「最初の案件をどう確保すればいいのか」という不安です。
薬剤師はもともと“営業して仕事を取る”前提の職種ではありません。
そのため、フリーランスへ踏み出そうとした瞬間に、
- どこから仕事を得ればいいのか分からない
- 収入の見通しを立てにくい
といった状態になりやすく、これが心理的なハードルを高くします。
こうした不安が大きい時期ほど、
最初の案件が確保されているかどうかは精神的な安定に直結します。
たとえば、仕事内容や人間関係が分かっている職場で働けるだけで、
- 新しい環境に慣れるストレスがない
- 開業届・事業用口座・会計ソフト設定などの初期手続きに集中できる
- 生活リズムや収入の見通しが崩れにくい
といった余裕が生まれます。
私の場合は、長く働いてきた職場で
契約形態だけを業務委託へ切り替える形を選びました。
営業活動をしなくても収入の土台を確保できたことは、
独立初期の“不安・気力不足・時間不足”を補ってくれる大きな助けになりました。
もちろん、この方法が誰にでも成り立つわけではありません。
成立には、
- 長年の信頼関係
- 職場の文化や体制
- 会社側のニーズ
- 自分自身の準備状況
といった複数の要素が重なっている必要があります。
だからこそ読者の方には、
「自分の環境ではどの程度、同じ進め方が現実的に成り立ちそうか?」
という視点を持って考えていただければと思います。
条件さえ揃えば、
独立初期の不安を大きく減らし、最初の一歩を安全に踏み出す選択肢
になり得ます。
では実際に、どのようにして雇用から業務委託へ切り替わっていったのか。
次は、相談から契約成立までの具体的なプロセスを振り返ります。
雇用から業務委託へ|相談から契約成立までのプロセス(実体験)

独立に向けて働き方を見直す中で、私は最終的に
「雇用から業務委託へ切り替える」という選択に至りました。
ここでは、実際にどのような流れで相談し、契約が形になっていったのか──
私の経験をできるだけ具体的に紹介します。
退職せずに“働き方の見直し”を始めた時期
当時は、働き方や働く時間をもう少し柔軟にしたいと考えていた時期でした。
すぐに辞めるつもりはなかったものの、
- 「もっと自由度の高い働き方に移りたい」
- 「雇用以外にも選択肢があるのでは?」
という思いが徐々に強くなっていました。
お金の勉強を通して、雇用以外の働き方も現実的に選べると感じ始めていたことも背景にあります。
会社から「給与見直し」の説明があり、転機になる
そんな時期に、会社側から
「今後、給与体系を見直す可能性がある」
という説明がありました。
経営状況を踏まえた実務的な話で、将来的に減給となる可能性も含まれていました。
感情的なやり取りではありませんでしたが、
この出来事が、働き方をあらためて考えるきっかけになりました。
双方にメリットがある形として“業務委託”を提案した
状況を整理したうえで、私は会社に対し
「業務委託への切り替え」をこちらから提案しました。
業務委託であれば、
- 会社側:必要な稼働だけ依頼でき、人件費を柔軟にできる
- 自分自身:働き方の自由度が高まり、独立への移行がスムーズになる
と双方にメリットがあると判断したためです。
「それなら辞めます」という一方的な流れではなく、
“お互いにとって最適な働き方”として相談できたことが、話がスムーズに進んだ理由のひとつでした。
会社側が税理士と相談し、契約形態として問題ないか確認
提案後、会社側は顧問税理士など専門家と相談しながら
契約形態の変更について内部検討を進めました。
業務委託が成立するかどうかは、
- 税務
- 労務
- リスク管理
など複数の観点から判断する必要があるため、これはどの企業でも必要なステップです。
私の場合も、具体的な検討内容までは聞いていませんが、
専門家の確認を経て進められたと聞いており、契約への安心感につながりました。
双方納得のうえで業務委託契約書を作成し、移行が決定
内部検討を経て、会社から
「業務委託で進めましょう」
と正式に返答があり、契約書の作成へ進みました。
仕事内容はほぼそのまま、契約形態だけが変わる形だったため、
独立初期の不安を大きく和らげてくれる“最初の案件”になりました。
ただし、このプロセスがうまくいったのは偶然ではありません。
次のセクションでは、なぜ成立したのか、その理由と注意点を客観的に整理します。
この働き方が成立した理由と、注意すべきポイント

同じ職場で雇用から業務委託へ切り替える方法は、条件が揃えば独立初期の負担を大きく減らせます。
ただし、誰にでもそのまま当てはまるわけではありません。
ここでは、私のケースでこの働き方が成立した理由と、
実際に検討する際に押さえておきたい注意点をまとめます。
「自分の環境でも現実的か?」を判断する材料としてご活用ください。
この方法が成立した“3つの理由”
理由① 長年の信頼と即戦力性があった
長く同じ職場で働いていたため、
現場の動線・患者さん対応・業務フローなどはすべて把握していました。
そのため、契約形態が変わっても“説明なしで現場に入れる”即戦力性が担保されており、
会社側にとって受け入れの負担がほとんどなかった点は大きかったと思います。
通常、外部の委託スタッフを受け入れる場合は教育や準備が必要になりますが、
その手間がないことは会社側にとって明確なメリットでした。
理由② 会社側にもメリットがあった
当時の会社側では、
人件費の見直しや働き方の柔軟化が必要な時期でした。
業務委託に切り替えることで、
- 必要な時間だけ依頼できる
- 人件費の固定化を避けられる
- 現場の運営を維持しつつ負担を増やさない
といったメリットがあり、小規模な薬局にとっては特に現実的です。
「辞められるより、形を変えてでも続けてもらえる方が助かる」という状況が重なっていたことも、スムーズに話が進んだ要因でした。
理由③ 独立準備による心理的余裕があった
私自身が事前に独立準備を進めていたことも大きな要因です。
- 生活防衛資金の確保
- 独立に必要な基礎知識の整理
- 退職後の手続きの把握
こうした準備があったことで判断を急ぐ必要がなく、
落ち着いて双方にとって適切な形を提案できました。
その結果、
「急に辞める人」ではなく
“環境を整えながら働き方を調整する人”
として受け取ってもらえたことも、契約成立につながったと感じています。
この方法を検討するときに必ず知っておきたい“3つの注意点”
注意点① 偽装請負にならないための線引き
契約書の形式が業務委託であっても、実態が“雇用”に近いと偽装請負と判断される可能性があります。
たとえば、
- 明確な指揮命令
- 勤務時間の細かな管理
- 就業規則の適用
といった状態です。
調剤薬局は医療現場として一定のルールが必要ですが、それでも、
- 業務内容・範囲を契約書に明確に記載する
- 業務指示や勤務拘束にならないよう事前にすり合わせておく
といった線引きは欠かせません。
双方がこの点を理解しておくことで、後々のトラブルを防ぎやすくなります。
注意点② 契約書は必ず作るべき
業務委託になる場合、契約書は必須です。
曖昧なままだと、
- 報酬・支払い条件
- 業務範囲
- トラブル時の対応
などで認識が食い違う可能性があります。
私の場合は、
まず自分で契約書案(ドラフト)を作り、
会社側(顧問税理士を含む)に確認してもらいました。
第三者のチェックが入ったことで、双方が安心して契約できたと感じています。
注意点③ 税・社会保障の扱いが大きく変わる
業務委託になると、働き方だけでなく制度の扱いも大きく変わります。
- 所得税:源泉徴収なし → 自分で納税管理
- 健康保険:国保 or 任意継続
- 年金:国民年金(+任意の上乗せ)
- 雇用保険:加入不可
これらを理解せずに進むと、
独立後に慌てて対応することになりかねません。
制度面の変化は、独立前に必ず押さえておくべきポイントです。
ここまでで、成立の理由と注意点が整理できました。
最後に、この記事全体のまとめとして“最初の案件をどう作るか”をあらためて振り返ります。
まとめ|最初の案件は“今の職場”から生まれることもある

独立初期の「最初の案件」は、必ずしもゼロから探す必要はありません。
これまで積み重ねてきた経験や信頼関係がある職場だからこそ、契約形態を変えるだけで新しい働き方が生まれるケースもあります。
今回紹介したのは、
信頼・即戦力・職場のニーズが重なったことで、雇用から業務委託への移行が自然に成立した例です。
一方で、指揮命令や勤務拘束のあり方など、制度上の注意点を正しく押さえる必要があるのも事実です。
大切なのは、
- 「自分の職場環境ならどうか?」
- 「双方にメリットのある形として成り立つか?」
といった視点で、いまの状況を冷静に見つめ直すことです。
条件さえ合えば、
“今いる場所から一歩を踏み出す”という選択肢は、独立初期の不安を大きく減らしてくれます。
あなた自身の価値観や働き方にフィットする、無理のない独立の形を探してみてください。
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