フリーランスとして独立を決めると、すぐに出てくるのが開業届と青色申告の話です。
「開業届って、いつ出せばいいんだろう?」「青色申告って、最初からやらないと損なのかな?」
こうした疑問で手が止まる人は少なくありません。
開業届の名前は知っていても、青色申告となるとよくわかっていない人もいると思います。
そのうえ開業の前後は健康保険や年金の手続きも重なるので、判断を先延ばしにしがちです。
私はフリーランス薬剤師として独立したときに、開業届と青色申告承認申請書を同時に出しました。
どちらも税務署に出す書類で、別々に考えるのが面倒だったからです。
振り返ると、この判断のおかげで初年度から青色申告できました。
この記事では、開業届と青色申告承認申請書をマネーフォワード クラウド開業届(以下MF開業届)で一緒に出す流れを整理します。
- 悩まず出してよい理由と、唯一の注意点
- 開業届と青色申告承認申請書の役割、青色申告の特典
- MF開業届でできること
- スマホでe-Tax提出するまでの操作手順
読み終えるころには、開業の手続きを必要以上に重く感じず、次の一歩に進めるはずです。
開業届と青色申告は悩むより先に出す|デメリットはほぼない

開業届と青色申告承認申請書は、どちらも出すこと自体にデメリットがほぼありません。
迷うくらいなら先に出して、自分の事業に集中した方が筋がよいと考えています。
まず開業届は、悩む要素がありません。
- 罰則はない
- 費用はかからない
- 特別な審査もない
青色申告承認申請書も同じです。
青色申告は面倒そうに見えますが、承認を受けても青色申告が義務になるわけではありません。
申請書を出しておけば、最大65万円の特別控除(2027年分から75万円)を初年度から狙えます。
青色申告には開業届の提出が前提なので、開業届を一緒に出す理由もここにあります。
残る手間は書類の作成くらいですが、これもあとで紹介するMF開業届を使えば、2枚まとめて簡単にできます。
唯一の注意点は、失業手当を受け取る予定がある場合です。
開業届を出すと、失業状態と認められなくなることがあります。
受給中に開業届を出す場合の扱いは、退職後の失業手当ガイドにまとめてあります。
開業届と青色申告とは|書類の役割と青色の特典

ここからは、書類ごとの役割と青色申告の特典を見ていきます。
開業届とは
開業届は、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
簡単にいうと、税務署に「事業を始めました」と伝える書類で、審査はありません。
提出期限は、以前は開業から1か月以内でした。
現在は、開業した年分の確定申告期限までに提出すればよいことになっています(国税庁の案内)。
提出後の控えは、事業用口座の開設などで求められることがあります。
2025年1月から、税務署は控えに収受日付印を押さなくなりました(国税庁の案内)。
その代わり、e-Taxで提出すれば受信通知と送信データが残り、これが控えとして通用します。
青色申告承認申請書とは
青色申告承認申請書は、青色申告をするために税務署へ出す申請書です。
承認を受けると、その年分の確定申告から青色申告を選べるようになります。
提出期限は、開業から2か月以内です。
この期限を過ぎると、その年分は白色申告(申請なしの場合の申告方法)になります。
※ 正式な期限は、原則としてその年の3月15日です。1月16日以後に開業した場合は、開業日から2か月以内に出せば、その年分から青色申告を選べます。期限を過ぎた場合は、翌年分からの適用になります。
青色申告の特典
青色申告を選ぶと、白色申告にはない特典を使えます。
主なものは次の4つです。
- 青色申告特別控除:所得から最大65万円(2026年分)を差し引ける
- 少額減価償却資産の特例:40万円未満のパソコンなどを、買った年にまとめて経費にできる
- 青色事業専従者給与:事業を手伝う家族に払った給与を経費にできる
- 赤字の繰越:赤字を翌年以後3年間の黒字と相殺できる
いずれも、一定の要件を満たす必要があります。
満たせなかった年は特典の一部が使えなくなるだけで、罰則はありません。
このなかで一番大きいのが、青色申告特別控除です。
e-Taxでの申告が前提で、上限は65万円(2027年分からは75万円)です。
紙で出した場合は55万円(2027年分からは10万円)になります。
75万円の条件は難しそうに見えますが、会計ソフトで月1回の記帳を続けていけば無理なく満たせます。
導入の手順はマネーフォワード クラウド確定申告 導入ガイドにまとめてあります。
大変なのは、帳簿づけに正確さが求められることです。
データで残すことが前提になり、税務署側でもAIでデータを調べる仕組みが進んでいるので、雑な帳簿づけでは済まなくなります。
とはいえ、会計ソフトで普通に記帳していればそこまで身構える必要はありません。
マネーフォワード クラウド開業届とは|2枚まとめて無料でe-Tax

開業届と青色申告承認申請書を一緒に出すなら、MF開業届が一番手軽です。
画面の案内に沿って進めていくだけで書類が仕上がり、そのままスマホからe-Taxで提出できます。
できることは次のとおりです。
- 開業届と青色申告承認申請書を、まとめて作成できる
- スマホでe-Tax提出できる
- 書類の控えをPDFで保存できる
- 完全無料で、会計ソフトの契約は任意
家族に給与を払う場合は、給与に関する届出(青色事業専従者給与に関する届出書・給与支払事務所等の開設届出書・源泉所得税の納期の特例の承認申請書)も同じ流れで一緒に作成できます。
一方で、できないこともあります。
- 確定申告は、マネーフォワード クラウド確定申告などの会計ソフトで行う
- パソコンからのe-Tax提出はできず、スマホとマイナンバーカードが必要
- インボイスの登録申請は、国税庁のe-Taxなどで別途行う
- 会社設立は、マネーフォワード クラウド会社設立などの別サービスを使う
提出方法は、窓口・郵送・e-Taxの3つから選べます。
| 提出方法 | 必要なもの | 控え |
|---|---|---|
| 税務署の窓口 | 印刷した書類・本人確認書類 | 収受日付印は押されない |
| 郵送 | 印刷した書類・本人確認書類の写し | 控えは返送されない |
| e-Tax | スマホ・マイナンバーカード | 受信通知と送信データが控えになる |
表のとおり、e-Taxなら自宅で完結し、控えの問題もなくなります。
マイナンバーカードがあれば、e-Taxの一択です。
👉 フォーム入力で開業届を簡単作成!【マネーフォワード クラウド開業届】![]()
マネーフォワード クラウド開業届のつかい方|画像付きで解説
ここからは、実際の操作手順です。
筆者は、業務委託契約・自宅が事務所・従業員なし・屋号なし、で開業しました。
同じような働き方なら、このあとの手順はそのまま使えます。
はじめる前に、次のものを手元に用意しておきます。
- スマートフォン(マイナンバーカード対応)
- マイナンバーカード本体
- 署名用パスワード(6〜16桁の英数字)と利用者証明用パスワード(数字4桁)
- e-Taxの利用者識別番号(16桁)
利用者識別番号は、過去に確定申告をしたことがあれば申告書の控えかe-Taxのマイページで確認できます。
初めての場合は、e-Taxのサイトで事前に取得しておきます。
操作で迷ったときは、サポートサイトに使い方ガイドとFAQがあります。
マネーフォワードIDを作成する
まずは、マネーフォワードID(無料アカウント)を作成します。
マネーフォワードIDは、同社のサービス共通のIDです。
会計ソフトなど、ほかのマネーフォワードのサービスも同じIDで利用します。
ただし、マネーフォワードMEをすでに利用している場合は、事業用は別のID(別のメールアドレス)で運用するのがおすすめです。
Gmailのエイリアス(例:xxxx+biz@gmail.com)を使えば、1つのアドレスで簡単に分けられます。
メールアドレスはあとから変更できるので、独自ドメインのアドレスがまだ用意できていなくても問題ありません。
操作の流れ
- MF開業届の公式サイトを開く
- 「開業手続きをはじめる」をクリックする
- メールアドレスを入力してマネーフォワードIDを登録する
- 確認コードをメールで受け取り、入力する
- パスワードを設定して登録を完了する
- 利用規約を確認して「上記に同意して登録」をクリックする

「開業手続きをはじめる」から登録を始めます。

Gmailなどのフリーメールでも登録できます。

届いた確認コードを入力して「次へ」をクリックします。
届かないときは、迷惑メールフォルダを確認してみて下さい。

パスワードは半角英数・記号で8文字以上です。

パスキーの登録は任意で、あとから登録することもできます。

利用規約に同意すれば、登録は完了です。
基本情報を入力する
画面の案内に沿って、事業の基本情報を入力します。
操作の流れ
- 「手続きを進める」をクリックして書類作成を始める
- 開業日・職業・仕事の概要・働く場所を入力する
- 給与の支払いと申告方法を選択する
- 「次へ」をクリックして次のステップへ進む

「手続きを進める」から書類作成を始めます。

開業日は、実際に仕事を始めた日にさかのぼって指定できます。
職業は「薬剤師」のように具体的に書き、「フリーランス薬剤師」のような肩書きは避けます。
働く場所は、業務委託で自宅を拠点にしているなら「自宅で働く」です。


家族に給与を払わないなら「支払わない」を選びます。
申告方法は「青色申告 55万円控除」を選びます(2026年現在の表示)。
申請者情報・収入の種類・屋号を入力する
次に、申請者自身の情報を入力します。
操作の流れ
- 氏名・ふりがな・生年月日を入力する
- 住所・電話番号を入力して「保存」をクリックする
- 収入の種類と屋号を選択して保存する
- 「次へ」をクリックして提出ステップへ進む

氏名・ふりがな・生年月日を入力します。

住所と電話番号を入力して「保存」をクリックします。

収入の種類は「事業所得」です。
屋号は任意で、不要なら「つけない」を選びます。
スマホからe-Taxで送信する
最後に、提出方法を選んでe-Taxで送信します。
操作の流れ
- 提出先の税務署を選択する
- 提出方法で「スマホで電子申告」を選択し、スマートフォンにマネーフォワード クラウド確定申告アプリをインストールする
- アプリにPCと同じIDでログインし、「開業届の電子申告」まで進む
- マイナンバー・利用者識別番号・2つのパスワードを入力し、マイナンバーカードを読み取って送信する

自分の住所を管轄する税務署を選びます。
わからないときは「管轄の税務署を調べる」で確認できます。

「スマホで電子申告」を選びます。
ここから先は、スマートフォンのアプリで進めます。

アプリにPCと同じIDでログインし、事業タイプと名前を入力したら、設定画面から「開業届の電子申告」をタップします。

各番号と2つのパスワードを入力してマイナンバーカードを読み取り、送信完了の表示が出れば提出完了です。
送信が終わったら、e-Taxの「受信通知」と送信した「開業届(申請データ)」を保存しておきます。
この2つが控えになります。
まとめ|開業届と青色申告は一緒に出して、次に進む

開業届と青色申告承認申請書は、悩むより先に出す書類です。
どちらも出して損はなく、出せば初年度から青色申告の特典を受けられます。
青色申告承認申請書は開業から2か月以内が期限なので、開業届と一緒に出しておけば期限で悩まずに済みます。
この記事のポイントを整理します。
- 開業届と青色申告承認申請書は、悩まず一緒に出す
- 作成はMF開業届で、まとめて済ませる
- 提出は、スマホからe-Tax
- 控えは受信通知と送信データで残す
出し終えたら、事業のお金の土台づくりに進みます。
青色申告の特典を受けるには帳簿づけが必要で、それを支えるのが会計ソフトです。
開業届で作ったマネーフォワードIDをそのまま使えるので、次は会計ソフトの導入から始めてみてください。
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