フリーランスが知っておきたい税金の基礎|種類・スケジュール・注意点

税金の基礎(アイキャッチ画像) 実務・会計ガイド
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この記事を書いた人
Nao@フリーランス薬剤師

サラリーマン薬剤師として働き方にモヤモヤを感じながらも、お金の勉強をきっかけに考え方が変化。調剤薬局・病院での実務経験を経てフリーランス薬剤師として独立。現在は調剤薬局と業務委託契約中。

【保有資格】
薬剤師免許・認定薬剤師
簿記3級・FP3級

フリーランスになって最初に戸惑うことのひとつが、税金です。

「いつ、何を、いくら払えばいいのかわからない」「やっと確定申告が終わったのに、まだ何かあるの?」

サラリーマン時代は、税金や社会保険料は給与から天引きされていました。
手取りが口座に入った時点で、すでに払い終わっているのです。

フリーランスはそうではありません。
口座に入った売上から、経費や税金、社会保険料を自分で払う必要があります。
仕組みを知らないまま進めると、いざ払う段になって手元にお金が残っていない、という事態にもなりかねません。

私自身、フリーランス薬剤師になってから、税金まわりには何度か驚かされました。
確定申告が終わってほっとしたのもつかの間、住民税・健康保険料・国民年金保険料が次から次へと届く。
頭でわかっていたつもりでも、実際に経験してみると想像以上のものがありました。

この記事では、フリーランスが払う税金の基礎として、

  • 税金にどんな種類があるか
  • 口座に入った売上をどう管理するか
  • それぞれの税金がどんな仕組みか
  • いつ・何を・どうやって払うか

を順番に整理します。

読み終えるころには、フリーランスとして払う税金の全体像が把握でき、慌てずに備えられる状態になります。
まずは「何があるのか」を知るところから始めましょう。

先に確定申告の流れから確認したい方はこちらもどうぞ。
👉 フリーランス初年度の確定申告ガイド|マネーフォワードで申告する手順

フリーランスが払う税金の全体像

フリーランスが払う税金は、大きく4種類あります。

  • 所得税:稼いだ分に応じてかかる国税
  • 住民税:翌年に後払いでかかる地方税
  • 個人事業税:一定の事業所得を超えたら都道府県に払う税金
  • 消費税:売上が一定額を超えたら払う税金

これに加えて、国民健康保険料と国民年金保険料も自分で払う必要があります。
会社員時代は給与天引きで済んでいたものが、フリーランスになると自分で納付する形に変わります。
税金とは違うかもしれませんが、毎年必ず発生する負担という意味では、税金と同じようなものと思っておくくらいがちょうど良いです。

税金も社会保険料も、生活していくために必ず必要なコストです。
サラリーマン時代は意識しなくて済んでいた分、フリーランスになったらこの違いをしっかり認識しておくことが大切です。

あわせて押さえておきたいのが、支払いのタイミングです。
フリーランス初年度は、税金の発生タイミングが2年目以降と異なります。
初年度は発生しない税目もあれば、退職した年ならではの特殊な事情もあります。

口座に入った売上を全部使ってはいけない理由

サラリーマン時代は、口座に振り込まれた金額がそのまま手取りでした。
そこから生活費を使っても、基本的には問題ありません。

一方、フリーランスは口座に入った金額がそのまま手取りではありません。
売上が丸ごと入ってくるぶん、そこから経費・税金・社会保険料を自分でよけておく必要があります。

この感覚がサラリーマン時代と大きく異なる部分です。
売上が入るたびに「全部使える」という感覚のまま進めると、いざ税金の納付時期になってお金が足りない、という事態になりかねません。

では、どのくらい残しておけばいいのか。
ざっくりした目安としては、売上から経費を引いた残り(=事業所得)の3〜4割程度は、税金や社会保険料として出ていくと考えておくと安全です。
収入の水準や経費の多寡によって変わりますが、最初はこのくらいを意識しておくと大きく外れません。

事業口座と家計口座を分けている場合、税金や社会保険料をどちらから払うかという問題もあります。
正解はなく、人それぞれの管理方法によります。
筆者の場合は、経費として認められる個人事業税のみ事業口座から払い、所得税・住民税・社会保険料は家計口座から払うようにしています。
生活費の一部として、家計の中で管理した方がわかりやすいと感じているからです。

税金の種類と基本のしくみ

ここからは、フリーランスが払う税金の種類とそれぞれのしくみを順番に見ていきます。
計算式を細かく覚える必要はありません。
「何に対してかかる税金なのか」「いつ払うのか」の2点を押さえておくことが大切です。

所得税

所得税は、1年間の所得に対してかかる国税です。
売上から経費と各種控除を引いた“課税所得”に対して、5〜45%の税率がかかります。
所得が上がるほど税率も上がる累進課税の仕組みです。

納付は、翌年2月16日〜3月15日の確定申告を経て、原則として3月15日までに行います。
前年の税額が15万円を超える場合は、予定納税として7月と11月に分割して前払いする制度もあります。

ただし前年の実績がない初年度は、予定納税が発生しないため気にしなくて問題ありません。
初年度の確定申告(2年目の2〜3月)で税額が15万円を超えた場合は、2年目の7月と11月に予定納税が発生します。

住民税

住民税は、前年の所得に対してかかる地方税です。
所得割(課税所得×10%)と均等割(約5,000円)の2つで構成されています。

確定申告の内容をもとに自治体が計算し、6月頃に納付書が届きます。
自分で計算して申告する必要はありません。

納付は6月・8月・10月・翌1月の年4回が基本ですが、一括で支払うこともできます。
自治体によってはキャッシュレス払いにも対応しています。

フリーランス初年度に注意したいのが、退職した年の住民税の扱いです。
前述のとおり前年の所得が基準になるため、1年目は会社員時代の所得をもとに計算された金額を納めることになります。
あらかじめ把握しておくと、慌てずに対応できます。

個人事業税

個人事業税は、一定の事業所得がある個人事業主に対してかかる地方税です。
事業所得が290万円を超えた部分に対して、業種に応じた税率(3〜5%)がかかります。

確定申告の内容をもとに都道府県が計算し、8月頃に納付書が届きます。
納付は8月と11月の年2回です。

このうち、薬剤師などの医療系フリーランスの場合は5%が適用されるケースが多いです(具体的な区分は都道府県・業務内容により異なります)。
聞き慣れない税金ですし、「まだ払うものがあるのか」と感じるかもしれません。
ただし290万円の控除があるため、課税が始まるラインはそれなりに高く、実際の負担額は数万円程度に収まるケースも多いです。

なお、個人事業税は経費として計上できるため、翌年の確定申告で必要経費に算入できます。

消費税

消費税は、売上が一定額を超えた場合に納付が必要になる税金です。
前々年の売上が1,000万円を超えると、翌々年から課税事業者となり、消費税の申告・納付義務が生じます。

フリーランスになったばかりの初年度は、前々年の売上実績がないため、多くの人は原則として免税事業者となります。
消費税については、初年度はほぼ気にしなくて問題ありません。

ただし、インボイス制度に登録している場合は注意が必要です。
インボイス登録者は売上規模に関わらず課税事業者となるため、初年度から消費税の申告・納付義務が発生します。

社会保険料

フリーランスになると、健康保険と年金も自分で払う必要があります。
会社員時代は会社が半分負担してくれていた分も、フリーランスは全額自己負担です。

健康保険は、前年の所得をもとに計算されるため、初年度は会社員時代の収入水準をベースにした保険料がかかります。
年金は国民年金への切り替えが必要で、月額は一定です。

税金と合わせると、毎月の負担はそれなりに大きくなります。
社会保険料も含めて、事業所得の3〜4割程度が手元から出ていくケースも多いため、このくらいを見込んで資金計画を立てておくと安心です。

健康保険の選択肢や年金の切り替え手続きについては、それぞれ詳しく解説した記事があります。
👉 退職+フリーランス初年度の健康保険ガイド|選択肢の比較と選び方
👉 退職+フリーランス初年度の年金ガイド|切り替え・免除・iDeCo

税金の年間スケジュール|いつ・何を・どうやって払うか

ここからは、フリーランスが払う税金の年間スケジュールを整理します。
税金の種類によって納付時期がバラバラなため、全体を把握しておくと慌てずに対応できます。

また、フリーランス1年目と2年目以降では発生する税目が異なるため、それぞれ分けて確認しておきましょう。

1年目のスケジュール

時期税目・内容主な納付・手続き方法
退職後すみやかに住民税(退職月以降の残り分)
※会社で一括天引きされる場合もあり
納付書払い・キャッシュレス払い
(コンビニ・金融機関など)
退職後すみやかに健康保険(任意継続/国民健康保険)・国民年金への切替と保険料窓口手続き+納付書払い・口座振替・キャッシュレス払い
6月住民税(第1期)納付書払い・キャッシュレス払い・一括払い(希望者)
8月住民税(第2期)納付書払い・キャッシュレス払い
10月住民税(第3期)納付書払い・キャッシュレス払い

※この年に支払う住民税は、原則として“会社員時代の前年所得”をもとに計算された金額になります。

2年目以降のスケジュール(翌年1月〜12月の主な動き)

時期税目・内容主な納付・手続き方法
翌年1月住民税(前年度分の第4期)納付書払い・キャッシュレス払い
2〜3月所得税(確定申告・納付)e-Tax・口座振替・クレジットカード・納付書(金融機関・コンビニなど)
6月住民税(当年度分の第1期)
※第4期は翌年1月に納付
納付書払い・キャッシュレス払い・一括払い(希望者)
7月所得税(予定納税・第1期)
※該当者のみ
e-Tax・口座振替・クレジットカード・納付書
8月住民税(第2期)納付書払い・キャッシュレス払い
8月個人事業税(第1期)
※該当者のみ
納付書払い・キャッシュレス払い(税額が少ない場合などは年1回の場合あり)
10月住民税(第3期)納付書払い・キャッシュレス払い
11月所得税(予定納税・第2期)※該当者のみe-Tax・口座振替・クレジットカード・納付書
11月個人事業税(第2期)※該当者のみ納付書払い・キャッシュレス払い

※ 住民税(普通徴収)の納付は、通常年4回に分かれます。第4期分は、6月に届く納税通知書に含まれているものの、実際の納付期限が翌年1月末になります。


1年目は退職後すみやかに支払いが始まり、短い期間に出費が重なります。
2年目以降は個人事業税や予定納税も加わるため、スケジュール全体を把握して、納付時期に慌てないよう備えておきましょう。

まとめ|全体像を知ることが、フリーランスの第一歩

フリーランスが払う税金は、所得税・住民税・個人事業税・消費税の4種類です。
これに国民健康保険料と国民年金保険料が加わります。
税金とは少し性質が異なりますが、毎年必ず発生する負担という意味では、同じように備えが必要なコストです。

口座に入った売上が、そのまま手取りではない点もフリーランス特有の感覚です。
売上から経費・税金・社会保険料を払った残りが手取りになるため、事業所得の3〜4割程度は出ていくものとして資金を確保しておくことが大切です。

納付のタイミングは税目によってバラバラで、1年目と2年目以降でも発生する税目が異なります。
退職の時期にもよりますが、夏にかけては支払いが集中しやすく、初年度はまとまった出費が重なりがちです。
年間スケジュールを頭に入れておくだけで、納付書が届いたときの慌て方が大きく変わります。

サラリーマン時代は意識しなくて済んでいた税金も、フリーランスになったら自分ごととして把握する必要があります。
まずは全体像を知っておくこと。それが、安心してフリーランスを続けるための第一歩です。

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👉 フリーランス家計の見える化ガイド|収支を把握して安心のスタートを切る方法
税金や社会保険料も含めた支出全体を把握して、家計管理の仕組みを整えていきましょう。