フリーランス家計の貯め方ガイド|生活防衛資金はいくらあれば安心か

家計の貯め方(アイキャッチ画像) 家計管理・資産形成ガイド
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この記事を書いた人
Noy@フリーランス薬剤師

サラリーマン薬剤師として働き方にモヤモヤを感じながらも、お金の勉強をきっかけに考え方が変化。調剤薬局・病院での実務経験を経てフリーランス薬剤師として独立。現在は調剤薬局と業務委託契約中。

【保有資格】
薬剤師免許・認定薬剤師
簿記3級・FP3級

フリーランスとして働いていると、収入は月ごとに変わります。
だからこそ、もしものときの備えとして

「貯金は、いくらあれば安心なのだろう」

と気になっている方も多いのではないでしょうか。

こうした、もしものときに生活を守るための貯金は、生活防衛資金と呼ばれています。
調べてみると、生活費の6か月分、1年分と目安には幅があり、結局自分はいくら貯めればよいのか、はっきりしないまま終わりがちです。
金額だけを目標にすると、貯まっても貯まっても不安が消えないこともあります。

私自身、独立を意識できるようになったのは、生活費の1年分を超える生活防衛資金が貯まっていたからでした。
といっても、金額を目標に頑張ったわけではありません。
黒字家計を続けるうちに、結果として貯まっていきました。
この備えがあったからこそ、収入が保証されない働き方にも、現実的な選択肢として踏み出せました。

この記事では、次の2つを、実体験をもとに紹介します。

  • 生活費から自分に必要な金額を出す、生活防衛資金の考え方と計算手順
  • 貯める順番のセオリーと、貯めたお金の置き場所

読み終える頃には、目安の幅に迷うのではなく、自分の数字で必要額を考えられるようになるはずです。
守りのお金が固まれば、投資という次の一歩にも安心して進めます。

なお、毎月の家計に余裕をつくる固定費の見直しは、こちらの記事でまとめています。
👉 フリーランス家計の節約ガイド|固定費を見直して暮らしを軽くする

なぜフリーランスは厚めの生活防衛資金が必要なのか

家計の貯め方(H2イラスト①)

生活防衛資金とは、病気やケガ、仕事が途切れるといった不測の事態から生活を守るためのお金です。
毎月の生活費とも、旅行や買い物のために貯めるお金とも、増やすための投資資金とも役割が違います。
使う予定はないけれど、何かあったときにすぐ使える。
そんな備えとして、手元に置いておくお金です。

この備えは、働き方を問わず誰にでも必要なものです。
ただ、フリーランスには、会社員より厚めに用意したい理由があります。

  • 公的な保障が薄い:会社員が病気やケガで働けなくなったときに受け取れる傷病手当金が、フリーランス(国民健康保険)にはありません
  • 失業給付がない:雇用保険に入っていないため、仕事を失っても失業手当は受け取れません
  • 収入に波がある:毎月決まった給料はなく、案件や契約の状況しだいで収入は変動します

会社員なら、働けない期間もある程度は公的保障がつないでくれます。
フリーランスは、そのつなぎを自分の蓄えで担うことになります。

さらに、生活防衛資金は暮らしを守るだけのお金ではありません。
手元に備えがあれば、収入が少ない月があっても、慌てて条件の悪い仕事を受けずに済みます。
目先の入金に追われない状態は、事業の判断を落ち着いて下すための余裕にもなります。
生活の備えであると同時に、収入の波を受け止める事業の防御力でもあるわけです。

生活防衛資金はいくら必要か|目安と自分の数字の出し方

家計の貯め方(H2イラスト②)

生活防衛資金の話で、誰もが最初に知りたいのは具体的な金額だと思います。

目安は生活費の6か月〜1年分

生活防衛資金の目安は、会社員なら生活費の3〜6か月分、フリーランスなら6か月〜1年分といわれています。

フリーランスの目安が厚いのは、傷病手当金や失業給付というつなぎがない分、蓄えでカバーする期間が長くなるためです。

ただ、同じ目安を見ても、安心できる水準は人によって違います。
結局のところ、自分の生活費から自分の数字を出せてはじめて、安心につながります。

生活費から自分の数字を出す3ステップ

必要額は、次の3ステップで考えます。

  1. 毎月の生活費を洗い出す
  2. 生活費に月数を掛ける
  3. 自分の状況に合わせて調整する

最初のステップは、毎月いくらで暮らしているかの把握です。
家計の見える化ができていれば、この数字はすでに手元にあります。
仕組みのつくり方は、フリーランス家計の見える化ガイドで紹介しています。

ここで使うのは、ゆとり費を除いた基礎生活費で十分です。
外食や趣味、交際といったゆとり費は、もしものときには絞れる支出です。
家賃や食費、通信費など、暮らしを保つのに欠かせない部分だけを基準にすれば、必要額をむやみに大きくせずに済みます。

次に、その基礎生活費に月数を掛けます。
フリーランスなら、6か月〜1年分が基準です。
たとえば基礎生活費が月15万円なら、90万〜180万円という自分の数字が出てきます。

こうして基礎生活費で計算してみると、思ったより数字は大きくないと感じるのではないでしょうか。
生活費というと収入と同じ規模を思い浮かべがちですが、ゆとり費を除いた暮らしの土台は、案外コンパクトに収まるものです。
固定費を見直して身軽になった家計なら、なおさらです。
あとは、扶養する家族がいるなら厚めに、といった具合に、自分の状況に合わせて軽く調整すれば、それで足ります。

筆者の場合は、この数字をおおよそ2年分にしました。
慎重な性格で、1年分では少し心もとなく感じたためです。
目安より厚めですが、これも自分の状況に合わせた調整のひとつです。
納得できる水準まで備えてからは、収入が変動する働き方でも落ち着いて仕事に向き合えています。

お金を貯める順番のセオリー|生活防衛資金は投資より先

家計の貯め方(H2イラスト③)

生活防衛資金の必要額が見えたら、次は貯める順番の話です。

  1. 借金を返す
  2. 生活防衛資金を貯める
  3. 余った分は、貯蓄や投資へ

最初は、借金の返済です。
カードローンやリボ払いのような高金利の借金があるなら、投資を考えるのはすべて返してからにしましょう。

カーローンのような身近な借金も、金利は年5%前後になることが珍しくありません。
この場合、返済は確実な投資とも言えます。
年利5%の借金を返せば、年利5%で運用したのと同じだけ家計は改善します。
しかも、相場に左右されない確定の利回りで、円建てなので為替のリスクもありません。
これほど確実なリターンは、ほかを探してもまず見つかりません。

なお、住宅ローンや奨学金のような低金利の借金は、完済まで長い時間がかかるのが一般的です。
返し終えるのを待っていたら、貯蓄にも投資にもいつまでも進めません。
金利が十分に低ければ、返済を続けながら貯蓄や投資と並行する、という判断もあり得ます。
余裕ができたときに繰上返済で減らしていけば、無理なく身軽になっていけます。

借金がなくなれば、次は生活防衛資金です。
もしものときに生活と事業を守る、家計の土台になります。

そして、守りが固まって、はじめて投資の出番です。
余った分を投資に回す、この順番には理由があります。

備えがないまま投資を始めると、暴落と生活の苦しい時期が重なったとき、生活費のために値下がりした資産を売ることになりかねません。
手元に現金の備えがあれば、相場が荒れても売らずに待てますし、日々の値動きに心をすり減らすこともありません。
フリーランスなら、事業の判断にも余裕が生まれます。

生活防衛資金はどこに置くか|普段づかいの銀行口座でよい

家計の貯め方(H2イラスト④)

置き場所に、特別な工夫は要りません。
生活防衛資金は、普段づかいの銀行口座に、普通預金で置いておけば十分です。

生活資金と投資資金の分離

手元のお金は、大きく2つに分けて考えます。

  • 生活資金:日々の生活費と、生活防衛資金。暮らしを回し、守るためのお金
  • 投資資金:当面使う予定のない余剰資金。増やすために働いてもらうお金

家計管理を進めていけば、毎月の生活費も生活防衛資金も、すでに数字として見えるはずです。
この2つを合わせた生活資金は、いざというときにすぐ使えるよう投資には回さず、残りを投資資金として切り分けます。
生活と切り離されたお金だからこそ、腰を据えた長期投資ができます。

筆者は、生活資金は楽天銀行、投資資金は楽天証券と、口座ごと分けています。
銀行と証券会社で分かれていると、日々の家計と資産運用が混ざらず、それぞれの残高もひと目で分かります。
これ以上細かく分ける必要は感じず、生活費と生活防衛資金は一つの口座にまとめて、内訳はスプレッドシートで把握すれば十分です。

もし混ざっていると使ってしまいそうで不安なら、目的別に口座を分けられる住信SBIネット銀行(ドコモSMTB銀行)のような選択肢もあります。

金利は追わなくていい

置き場所を考えるとき、つい気になるのが金利です。
少しでも金利の高い銀行を探して、口座を増やす。
これは、あまり意味のない努力だと考えています。

そもそも銀行の普通預金は利回りが低く、長期の資産形成に寄与する水準ではありません。
物価の上昇が金利を上回っていれば、預けているだけで、お金の価値は少しずつ目減りしていきます。
定期預金は普通預金よりは金利が高いものの、それでも資産形成に効くほどではなく、資金の拘束や解約時の手間というデメリットもあります。

わずかな金利のために預金を縛るくらいなら、個人向け国債を選ぶ方がまだ合理的でしょう。
金利の高さをうたう銀行にしても、国債の利回りを下回るのが普通で、上回る金利は一時的なキャンペーンの場合がほとんどです。
キャンペーンを渡り歩けば、手間と口座の数だけが増えて、家計の把握はかえって難しくなります。

生活防衛資金の目的は、増やすことではなく、いざというときにいつでも使えることです。
金利を基準に選ばなくて大丈夫です。

銀行を選ぶ基準があるとすれば、金利より使い勝手です。
筆者が楽天銀行を使っているのも、金利ではなく、楽天証券との連携があるからです。
証券会社を軸に、連携しやすい銀行を選ぶ。
資産形成まで見据えるなら、この順番で選ぶ方が長く快適に使えます。

ペイオフは気にしなくていい場合がほとんど

銀行にお金を置く話になると、ペイオフを心配する方もいるかもしれません。
ペイオフとは、銀行が破綻したときに、1金融機関あたり元本1,000万円とその利息まで保護される制度です。
1,000万円を超える分は戻らない可能性があるため、預金を複数の銀行に分けましょう、という話をよく見かけます。

ただ、銀行に置くのが生活資金だけなら、残高が1,000万円に近づくこと自体、ほとんどないと思います。
生活防衛資金に日々の生活費を足しても、1,000万円を超える家庭はそう多くないはずです。
超える場合は、余剰資金として証券口座に移すという手があります。
証券口座側は、お金を証券会社自身の資産と分けて管理することが義務づけられているうえ、万一の場合も投資者保護基金で1,000万円まで補償されるため、心配は要りません。

銀行の破綻は、たしかに過去に起きたことがあります。
ただ、保護の仕組みが整っているうえ、資金を分けておくだけで対策できるリスクでもあります。
ペイオフ対策に手間をかけるより、生活資金と投資資金の分け方に目を向ける方が、家計にとってよほど実りがあります。

まとめ|守りのお金が、次の一歩を支える

家計の貯め方(H2イラスト⑤)

生活防衛資金はいくらあれば安心か。
その問いから始めて、目安と計算の仕方、貯める順番、置き場所までを整理してきました。
あらためて、要点は次のとおりです。

  • 必要額は、基礎生活費から自分の数字を出す
  • 貯める順番は、借金の返済が先、投資は守りが固まってから
  • 置き場所は、普段づかいの銀行口座で十分

傷病手当金や失業給付のないフリーランスは、会社員より厚めの備えが基本です。
それでも、ゆとり費を除いた基礎生活費で計算すれば、必要額は思ったほど大きくなりません。
目安の幅に迷ったときは、自分の生活費に立ち返って考えれば大丈夫です。

生活防衛資金は、使う予定のないまま持ち続けるお金です。
それでも、この備えがあるだけで、収入の波に心を揺らさず、目の前の仕事と暮らしに向き合えます。
金額を目標に頑張らなくても、黒字家計を続けていけば、守りのお金は自然に積み上がっていきます。

備えが整ったら、次は余剰資金を働かせる番です。

次に進めるアクションはこちら:

👉 フリーランス家計の増やし方ガイド(準備中)
生活防衛資金の先にある、余剰資金の育て方をまとめています。